2003 Fiscal Year Annual Research Report
一般廃棄物処理政策における政府間行財政システムの研究
Project/Area Number |
15730149
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
八木 信一 埼玉大学, 経済学部, 助教授 (10334145)
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Keywords | ごみ / 焼却処理 / ごみ処理技術 / 社会資本 / 複合的コントロール機能 / ダイオキシン対策 / 行財政システム / パートナーシップ |
Research Abstract |
交付初年度にあたる本年度の研究計画では、(1)国庫補助金の交付における技術内容の規定に関する変遷と焼却処理にかかる技術革新との関係把握、(2)社会資本整備のなかでごみ処理は国庫補助率が低い分野であったので、それを補ってきた特別地方債の果たしてきた機能を中心とした、国による地方自治体への複合的なコントロール機能の検討、これら2つを掲げていた。 (1)については、関連する文献や資料の検討などから、廃棄物処理法が制定された1970年代以降、日本のごみ質に応じた焼却処理の技術導入が進んだこと、いわゆるごみ処理技術の「近代化」が起こったことを把握した。この「近代化」と廃棄物処理法との関係、さらに国庫補助金の技術規定との関係については、次年度に残された研究課題である。 (2)については、(1)の歴史的展開の前段階にあたる1960年代において、焼却施設における主要な建設財源である、国庫補助金、特別地方債、そして地方交付税が、それぞれが別々にではなく、旧厚生省と旧自治省の連携のもと、これらがつながるかたちで、市町村などによるごみ処理システムの形成に、影響を与えたことを明らかにした。さらに、この複合的コントロール機能の構図は、昨今のダイオキシン対策において見られることも示した。これは、論文「ごみ処理施設整備事業の行財政システム」(環境経済・政策学会編『公共事業と環境保全』<東洋経済新報社>に所収)として公表した。 これらの当初計画とは別に、しかし関連した内容を持つ研究活動として、廃棄物政策において見られる主体の多元化と、それらの主体間での協力関係(パートナーシップ)の現状と今後について、行財政システムの側面から考察した。これは、論文「循環型社会へのパートナーシップと行財政システム」(財政学研究会編『財政と公共政策』<創刊号>に所収)として公表した。
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Research Products
(2 results)