2004 Fiscal Year Annual Research Report
一般廃棄物処理政策における政府間行財政システムの研究
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15730149
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
八木 信一 埼玉大学, 経済学部, 助教授 (10334145)
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Keywords | 行財政システム / 大量廃棄社会 / 循環型社会 / 複合的コントロール機能 / リサイクル・ガバナンス / パートナーシップ / エコタウン事業 / 三位一体改革 |
Research Abstract |
交付二年度目にあたる本年度の研究計画では、1.日本における大量廃棄社会を支えてきた政府間行財政システムのメカニズムを検証すること、加えて現時点において現れている諸変化を分析および検討すること、2.市町村や一部事務組合などに対する全体調査へ向けた準備作業を進めること、これら2つを掲げていた。 1.については、2004年12月に刊行した拙著『廃棄物の行財政システム』(有斐閣)において、(1)焼却処理を支える政府間行財政システムは、1970年に制定された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」以前には形成されていたが、法律で設けられた技術規定である構造基準や、それ以降の予算増によってこのシステムが発展したこと(同書、第2章)、(2)政府間行財政システムを特徴づける複合的コントロール機能は、ダイオキシン対策においても引き継がれていること(同書、第5章)、(3)循環型社会への行財政システムをめぐっては、リサイクル・ガバナンスの形成に向けて、行政以外の主体とのパートナーシップを支えるものへと内容が変化しつつあるが、研究テーマとしてとりあげたエコタウン事業については、政府間行財政システムが強固に存在するなかで、とくに大企業が主導するリサイクルの広域化を促していること(同書、第6章)、これら3つを明らかにした。 2.については、準備作業を進める過程において三位一体改革が進展し、とりまく状況が変化してきている。改革の結果、特定補助金の廃止とそれを受けたブロック補助金(循環型社会形成推進交付金)の創設や、さらにその交付条件として、複数の市町村によるごみ処理広域化を進めることが決まったが、これらの制度変更はとくに小規模自治体に影響を及ぼすことが予想される。それゆえ、これらの自治体に対する調査を優先させて行いたいと考え、調査対象や調査内容の再検討を現在進めている。
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Research Products
(1 results)