2004 Fiscal Year Annual Research Report
教育財政システム改革の一環としての所得連動型教育ローンの導入の可能性に関する研究
Project/Area Number |
15730162
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
阪本 崇 京都橘大学, 文化政策学部, 助教授 (20340458)
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Keywords | 教育財政 / 所得連動型教育ローン / 効率と公平のトレードオフ / 資本市場の不完全性 |
Research Abstract |
本研究は、所得連動型教育ローン(Income Contingent Student Loan)を日本の教育財政システムの一環として導入することが可能かどうかを検討することである。この目的を果たすために理論的研究、および既に同様のシステムを導入しているオーストラリアの教育財政制度に関する研究を行うことを予定していた。しかし、2004年2月に研究スケジュールの若干の見直しを検討せざるを得ない事態が発生している。これは、英国に於いて2006年度より所得連動型教育ローンに類似する制度が導入されることが決定されたことである。国立大学を主体とするオーストラリアに比較して、歴史的背景や事情は日本と異なるとはいえ私立大学を主体としている英国の高等教育制度は、オーストラリアよりもより適切な比較対象と言える。このため、本年度は英国に新たに導入される制度についての文献調査と理論的研究を行った。 前者については、英国高等教育白書およびHigher Education Act 2004より情報を得て、制度の概要についての把握を進めている。この中で、サッチャー政権以後、高等教育への競争原理の導入を進めていた英国において、その流れが授業料の一定範囲内の自由化という形で続いている一方で、高等教育の機会均等の理念の下に経済的に不利な個人への配慮としてこの制度が導入され要としていることに注目している。 後者については、本年度はとくに所得連動型教育ローンの導入によって生じる逆選択を回避する手段についてVickreyの提示した成績指標を用いる方沫などを手がかりに追求した。
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Research Products
(1 results)