2003 Fiscal Year Annual Research Report
企業行動の制度的コントロール:モデルと計量分析によるアプローチ
Project/Area Number |
15730179
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 剛 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00334300)
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Keywords | 企業犯罪 / 制裁 / 制度設計 / 企業行動 |
Research Abstract |
研究計画の初年度である本年度では、企業の不正行為に対する法的制裁が企業にどのような影響をもたらすか、またどのようにしてその影響が発生するかについて実証とモデルの両面から分析し、そこから法的制裁の制度設計についても若干の検討を試みた。 まず、計量的な分析としては、ほぼ同時期に起こった二つの独占禁止法違反事件を取り上げ、これらの事件に関与した企業の成果指標の変化などを比較することにより、法的制裁のインパクトを実証的に明らかにした。この結果、法的制裁にはそれ自体のインパクトだけでなく、スティグマ(烙印)付けとして機能することにより間接的に大きなインパクトがあることを明らかにした。また、このような制裁の効果を踏まえた制度設計についても若干の検討を行った。これについてはスティグマ効果の内容に踏み込んだ検討を現在進めている。 一方、モデルによる分析としては、経済学者と共同で制裁メカニズムとしての民事法と刑事法の機能を分析し、その違法行為抑止と情報開示に与える効果を比較した。結果として、情報の非対称性や司法費用などが存在する場合には民事法は制裁制度として不完全であるが、一方で刑事法には重罰化という危険がつきまとうことを明らかにした。この民事法と刑事法のメカニズムの分析については引き続き研究を行う予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 清水 剛: "独占禁止法違反に対する制裁の経営効果"ジュリスト. 1254. 212-221 (2003)
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[Publications] 清水剛, 畠中薫里, 村松幹二: "企業に対する制裁メカニズム:刑事法と民事法の比較の試み"インセンティブ設計の経済学(勁草書房). 227-262 (2003)