Research Abstract |
本年度は,企業の社会戦略とステークホルダー・マネジメシトに関して,先進的取り組みを実施している地域および企業・団体に関するインタビュー調査を中心に,各種文献研究と定量調査に取り組んだ. インタビュー調査に関しては,国内においては企業とNPOがパートナーシップを組んで社会戦略を実施している事例を中心に調査を進め,その成果を雑誌論文において公表している. 海外においては,欧州地域へのインタビュー調査を実施した.欧州では,欧州委員会がイニシアチブをとって,企業やNPOといった多様な組織と連携しながらCSRを推進してきている.またそのような状況下で,各企業も,CSRを企業の競争優位性獲得の1つに位置づけ,戦略的に推進していくように,自発的な独自の取り組みを模索している. 企業の社会的価値を高めるような社会戦略,ステークホルダー・マネジメントを実施している欧州企業と,関連NPOを訪問して,下記のようなインタビューを実施している。PBブランドにおけるサプライチェーンのCSRの取り組み(マーク&スペンサーやテスコといった小売業界),マーケティングにおけるサスティナビリティ・ガイドラインやCSRのマーケット・セグメンテーション(英国マーケティング研究所),企業とNPOのパートナマシップ(サイエンス・ミュージアム),イギリスのCSRマーケティングの動向と広告業界(電通ホールディングス・ヨーロッパ),CSR促進活動とISO規格化(欧州委員会),不祥事後のブランド回復戦略(ブリヂストン・ヨーロッパ),CSR重点テーマとマーケティングとの両立(CSRヨーロッパ),欧州市場の特異性とCSR,マーケティング(資生堂ドイチュラント),企業市民活動とCSRレポート(ドイツ・テレコム)である.この調査で判明したことは,社会戦略の重要課題として,CSRのターゲッティングの仕方や優先順位のつけ方に,マーケティング手法がどこまで導入できるのか,またその限界についても考察する必要があるということである. 文献研究では,ステークホルダーや戦略に関するものを中心に,上記インタビュー調査と併せて検討を進めているところである.また定量調査は,企業とNPOのパートナーシップと企業の社会戦略に関するアンケート調査に取り組んだ.
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