2004 Fiscal Year Annual Research Report
エンタテイメント産業におけるeコミュニティ上消費者間相互価値創造の研究
Project/Area Number |
15730200
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
小橋 麗香 大阪国際大学, 経営情報学部, 助教授 (90288978)
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Keywords | 消費者コミュニティ / インターネット / エンタテイメント産業 / フィールドワーク / 掲示板 |
Research Abstract |
日本のポピュラーミュージック産業における、バーチャルなネットコミュニティ(HP上での双方向参加型掲示板)とリアル(コンサート会場)との相互浸透を通じた、ファンの自発的な行動に基づくファン心理の拡大再生産のプロセスとそのメカニズムを、組織構造論・消費者行動論・ネットワーク行動論などの視点から分析し、仮説発見的な研究を行うことを目的とする。平成16年度は、(1)当該研究分野および隣接研究分野に関連する資料、文献の収集、(2)比較研究対象となる別のポップスグループのコンサート会場の周辺におけるフィールドワークにより、コンサート参加者の参加形態に関する特徴をデジタルカメラで記録、(3)研究対象としているインターネットサイトおよび類似サイトの消費者コミュニティ上掲示板の投稿記録(過去ログ)の収集と分析、比較考察、(4)掲示板参加者に対するヒアリング調査を行った。 2004年4月時点で1日当たり訪問者数8000人だった研究対象サイトが、2005年3月現在、1日あたり2500人程度にまで急激に減少した。この原因のひとつには、研究対象ポップスグループが1年間音楽活動(CD発売、コンサート)を全く行わなかったためと考えられる。リアル世界でのファン活動がネットワーク上の活動程度とごく自然に相応していることを現している。しかしながら、同じポップスグループを対象とする別のファンサイトでは、投稿数が減っておらず、平均投稿数が研究対象サイトを越えるという現象が確認された。対象グループの活動状況以外に、サイト管理者のマネジメント、参加者の意識や行動などが、重要な要因となって、サイトの活動状況に影響を与えたのである。2004年3月の参加者ヒアリングの時点ですでに、巨大サイトになったことにたいする不満は確認されていたが、これが1年間で参加者数・投稿数の激減という実態となって現れるという結果になり、巨大掲示板運営メカニズムのダイナミズムを分析することの意義が改めて確認された。
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