2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規事業における創発的市場プロセスにマーケティングマネジメントが果たす役割の解明
Project/Area Number |
15730203
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
栗木 契 神戸大学, 経営学研究科, 助教授 (90294397)
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Keywords | 自己組織性 / オートポイエシス / 創発 / マーケティング / 市場創造 |
Research Abstract |
本年度は、研究テーマに関し、理論、現象の2つ側面から研究に着手した。まず、理論面では、既存研究の整理・分析を通じて、マーケティング・プロセスから生じる、新たな製品・サービスの供給とそれに対するニーズの相補的な関係の創発という現象を的確にとらえるための理論枠組みを検討した。従来の経済学や経営学そしてマーケティング論の主流であった要素還元主義や構造主義的なアプローチ、あるいは市場を均衡形成の場としてとらえるアプローチでは、内発的な変化と、秩序の正当化の問題を扱いえない。この限界を克服するための理論的機制として自己組織性あるいはオートポエシスという機制に注目することが有効であるとの認識を得た。この理論的な機制が、具体的な市場プロセスのなかでどのように機能しているかの分析、及びそのマネジリアルなインプリケーションについては、今後の課題である。 現象へのアプローチとしては、まず日本企業の新規事業への取り組みに関する資料収集を進めるとともに、業界の異なる8社に対するインタビューを行った。近年では消費の多様化・流動化が加速し、市場適応を進めるだけでは企業経営が成り立たなくなってきているとの認識を得た。換言すれば、企業の側から市場を主体的に組織化していく新たな仕組みが求められているということである。上述した市場プロセスの自己組織性の分析を進めることは、この問題に対する対処法を導くための基礎となると考えられる。加えて、マーケテイング・プロセスと買い手のニーズの相補的な関係を確認するために、異なる統制条件のもとで被験者に商品評価を求める実験を行い、データを収集した。なお、この実験は当初予定していなかったものであるが、理論研究を進める中で、当初予定していた質問票調査と比較して必要性が高いと判断したため、先行して実施することとした。
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Research Products
(1 results)