2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730204
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤田 健 山口大学, 経済学部, 助教授 (50311816)
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Keywords | 需給調整過程 / マーケティング・インタフェイス / 部門間統合 |
Research Abstract |
本年度は需給調整過程の分析枠組みを構築するために、基礎的な理論研究と実態調査をおこなった。 第一は理論研究である。研究費でロジスティクス関係の大型バックナンバーを購入し、文献サーベイを行った。サーベイの領域は、マーケティング・ロジスティクス・インタフェイスである。この研究ではくマーケティング部門とロジスティクス部門が需給調整のために行う組織間調整の系譜を追った。こうしたサーベイにあわせて米国の研究会・学会に出席し、最先端の研究情報も収集した。 第二は、需給調整過程の実態調査である。東京・大阪の大規模製造業者を中心にインタビュー調査と資料収集を実施した。調査対象は、松下電器産業、キリンビバレッジ、味の素ゼネラルフーズ、サンスター、コカ・コーラ社などであった。 これらの研究の結果、製造業者における需給調整過程は、マーケティング部門・ロジスティクス部門・生産部門の三位一体で行われるコミュニケーション過程であり、それらの部門間統合の程度によって、サプライチェーンの成果に影響するという仮説を導き出した。ただし、この仮説は構造条件を所与として組織のコミュニケーション過程に焦点をあてて導出したものである。そのため、今後の研究では、このような前提条件をはずして、さらに多面的な検討を進める必要があると考えられる。 本年度の研究は基礎的なサーベイ調査であったため、現段階では明示的な学術的成果を公表していない。しかし、この研究過程で知り得た顕著な事例を分析し、業界新聞(ロジスティクス・クロニクル)に3回にわたって寄稿し、公表した。また、上記の仮説を提示する論文を近刊予定にしている。このように地道ではあるが、需給調整過程の構築と維持に関する理論フレームワークの構築に向けて、研究を進めた次第である。
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