2004 Fiscal Year Annual Research Report
保険と金融の融合が促す保険ビジネスの変革に関する国際比較-リスクの証券化を中心に
Project/Area Number |
15730205
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡田 太 日本大学, 商学部, 講師 (30318323)
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Keywords | 異常災害債券(キャットボンド) / 保険(リスク)リンク証券 / リスクの証券化 / 特別目的(再保険)会社 / 全融と保険の融合 / 自然災害 / インデックス型契約 / 損害填補型契約 |
Research Abstract |
保険リスクの証券化の市場動向と将来展望 2003年の異常災害債券(キャットボンド)市場は、発行数7件、発行額13億ドルであった。近年の傾向および特徴として、日本の地震リスク債券に投資家が積極的に投資していることがあげられる。オリエンタルランド社が1999年に発行した地震債券が満期を迎えた今年、Swiss Re Capital Markets社が1億2500万ドルのキャットボンドを発行した。これは日本興亜損保がSwiss Reへ出再したリスクが証券化されたといわれる。すでに、同様の地震債券は、東京海上、ニッセイ同和、JA共済連がすでに発行しているにもかかわらず、投資家に取得されていることから、分散投資の対象として定着していることがうかがえる。 証券化のスキームは、USAAが発行した損害填補型のキャットボンドを除くと、インデックス型のキャットボンドが主流を占め、これらの債券多くは、格付けがBa1/BBB-〜Baa3/BBB+(ムーディズ/S&P)、利回りがLIBOR+2.45%〜4.75%で安定している。 昨年は世界中で多くの自然災害が発生した。日本では台風関連の保険全支払額が5000億円、米国ではハリケーン関連の保険全支払額が150〜300億ドルに達するといわれ、キャットボンドへの投資が抑制されるのではないかとの懸念がもたれたが、2004年9月にSwiss Reが5330万ドルの債券の発行に成功した。キャットボンドの利回りが相対的に高い点に注目し、積極的にリスクをとる投資家が増えつつあることを示唆する。 このように、保険リスクの証券化市場は発展の基礎を固めつつある。日本の保険会社や企業は自然災害リスクの分散対象として、証券化市場をとらえていたが、今後は資産運用市場として活用することも視野に入れる必要があるように思われる。
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Research Products
(1 results)