2004 Fiscal Year Annual Research Report
国際会計基準設定過程における参加構造の変化と会計理論の役割に関する研究-金融商品会計と業績報告についてのケース・スタディー
Project/Area Number |
15730220
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤邉 紀生 京都大学, 経済学研究科, 助教授 (80278481)
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Keywords | 金融商品会計 / 公正価値会計 / 原則主義 / 細則主義 / 会計基準設定構造 / 会計基準設定アプローチ / 共進化 / 相転移 |
Research Abstract |
平成16年度においては,これまでに行った調査の整理・分析と,それに基づいた追加的調査を行った。まず,平成15年度までに行った英国,カナダおよび日本における体系的ヒアリング調査を整理・分析した結果を,アジア太平洋学際会計学会(平成16年7月5日於シンガポール)において報告・議論した。報告内容は,金融商品会計基準設定過程における会計理論の役割に関する分析であったが,金融商品プロジェクト開始当初の混合属性モデルから公正価値モデルへの転換が,会計基準設定アプローチの変化を伴っており,その転換において会計理論が重要な役割を果たしたことがヒアリング調査の成果をもとに明らかにされた。具体的には,1990年代後半に金融商品プロジェクト内における会計基準設定アプローチが,帰納的会計基準設定アプローチから演繹的会計基準設定アプローチへと変化したこと,デュープロセスの一環を担う市中協議における利害対立が基準設定アプローチ変化を促したこと,それに従い,混合属性モデルから公正価値モデルへと会計モデルの変化が生じたこと,マーケット・ベースト・リサーチが会計モデル選択に影響したことなどが報告において明らかにされた。また,理論的研究として,細則主義における会計基準とクリエイティブ・アカウンティング商品の共進化構造に関する分析を行った。その際には,1980年代から1990年代前半における英国の金融商品会計基準問題を典型的事例として取り上げ,原則主義への転換によって共進化構造に相転移が生じたことを示したうえで,米国における同様の共進化構造が維持されてきた背景を検討した。平成16年度には,フランスおよび米国において会計基準設定関係者に対するヒアリングを行ない,EUにおける金融商品会計の現状および米国における業績報告プロジェクトの展開について調査した。
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Research Products
(2 results)