2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730230
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
角 一典 北海道教育大学, 教育学部旭川校, 助教授 (10312323)
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Keywords | 公共事業 / 地域権力構造 / 留萌市 / 公共事業複合体 / 地域権力構造の歴史性 |
Research Abstract |
本年度は、主に2つの主要な観点から研究を進めた。 第一に、日本における地域権力構造論の過去の蓄積を再検討することである。70年代に、秋元・古城・クロダなどの、今日古典と目される研究が出されていったが、それらの研究が、高度経済成長という背景に強く影響される形で進められていったことが、アメリカの地域権力構造論ではあまり強く意識されていない地域権力構造の動態的把握への着目につながっているということを確認することができた。特に、殖民政策の中でドラスティックな社会変動を経験している北海道では、歴史の視点がきわめて重要な意味を持つことが予測され、かれらの研究のさらに深い検討が今後も必要となるものと思われる。 第二に、上記の知見を踏まえて、今日の留萌市の地域権力構造を歴史との関連性から把握することである。市史などの、留萌市に関連する各種の歴史的資料を閲覧・収集することにより、主に明治以降の留萌市の足跡を詳細に追跡し、それらの知見から地域権力構造の歴史的な変遷を可能な限り明らかにすることを試みた。その結果、留萌市が、鉄道と重要港湾を擁した交通の拠点であり、かつては北海道産の重要な物資であった石炭の積出港として位置しているという地理的な要因から、国策の影響を強く受けやすい土地柄であったことが、留萌市の経済的な面での特徴を作り出しているとともに、政治権力の所在にも影響する結果となっていたことが予想されるという、当座の結論を得るに至った。 第二次世界大戦直後の移民政策によって北海道の多くの地域は大規模な社会変動を経験しているが、以上の知見から、それらが戦後の地域権力構造へなんらかの影響を与えているということが予想される。これらについては来年度以降の課題としたい。
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