2003 Fiscal Year Annual Research Report
阿賀野川の環境史―生業複合が生み出す<風景としての自然>と新潟水俣病に関する研究
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15730231
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
関 礼子 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (80301018)
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Keywords | 生業複合の重層性 / 間接的分断=疎遠 / 直接的または半強制的分断=破壊 / 望ましい自然 / 生活と意識の川離れ |
Research Abstract |
阿賀野川流域の景観の変遷を文書資料・写真・ヒアリングによって捉える作業を行った。以下のような知見が得られた。 (1)国土地理院の地図を時系列に確認したところ、地図から読み取ることが出来る土地利用形態は、人々の実際の記憶と過去の営みとは異なっていることが確認できた。そこで、実際の利用形態を史料や空中写真、ヒアリング等から復元的に捉えた。 (2)阿賀野川流域の生業複合が、世帯ごと、地域ごとに重層的であっただけでなく、世代ごとの重層性があることが明らかになったまた、幼少期のマイナー・サブシステンスの経験がある世代とない世代との経験と記憶の断絶は、新潟水俣病の社会問題を契機としており、前者は「生活様式や生業構造の変化による間接的分断」、後者は「物理的モメントによる強制的または半強制的分断=破壊」が主要因となって、「生活と意識の川離れ」が進行したことが明らかになった。 (3)千唐仁の被害者女性の生活史を、周回する生きられた時間のなかで整理し、新潟水俣病の経験を地域の景観・生活の変遷のなかに埋め込む作業を行なった。また、被害者男性の日記から過去の生業複合の経験から読み解かれる日常とは何かを整理した。そこから(2)に示した点が強化された。同時に、新潟水俣病を社会学的な疫学の手法で明らかにする糸口をつかんだ。 次年度は、当初計画に加えて、幼少期に複数のマイナー・サブシステンスを経験した人にとっての「望ましい自然」について、子供や孫世代との経験の断絶を手がかりに調査を深める必要がみえてきた。
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