2003 Fiscal Year Annual Research Report
外国人労働者の定住化と都市底辺層の再編に関する社会学的研究
Project/Area Number |
15730243
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 薫子 山口大学, 教育学部, 講師 (70335777)
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Keywords | 外国人労働者 / 定住化 / 都市下層 / 市民活動 / 外国人女性 / 外国人子弟 / エスニック・アイデンティティ |
Research Abstract |
平成15年度は研究課題「外国人労働者の定住化と都市下層の再編に関する社会学的研究」の第一年目であり、基礎的文献資料の収集等を中心に作業を進めた。また、必要に応じて聞き取り調査も行なった。具体的には、横浜・寿町地区、神奈川県川崎市、広島県福山市、福岡県福岡市でそれぞれに活動する外国人支援団体関係者へのインタビューを行なった。また、横浜・寿町地区では参与観察法を用いた調査も行なった。 平成15年度に得られた新たな知見は以下のとおりである。 1.日本社会における近年の状況として、ニューカマー(新来)外国人の人口は一貫して増加傾向にある。特に、都市部だけでなく、これまで外国人人口がそれほど多くなかった地方都市でも地元産業への従事等を背景として外国人の増加が見られている。また、親に連れられて来日した外国人の子どもたちについてはことばの問題や日本の学校にじゅうぶん適応できない等の問題も指摘できる。 2.日本における外国人支援活動は1980年代後半から都市部を中心に行なわれてきたが、その主な担い手は労働組合、キリスト教会等とのつながりを持った日本人であった。1990年代後半から外国人労働者の定住化にともなって外国人自身の自助的活動をサポートするさまざまな取り組みがなされてきている。いっぽうで、ことばなどの障壁によって外国人自身が主体的に日本社会で組織活動を進めていくことは容易ではない。 3.近年、外国人登録者のなかで20、30代のフィリピン人女性の占める割合は増加している。これは日本人男性との結婚による定住化が背景にあるが、いっぽうで離婚も増えている。日本人との間の子どもを抱えた外国人女性が日本で経済的、社会的に自立して生活していくことは容易ではない。また日本で生活する子どもにとって「日本人」とも「フィリピン人」ともなれ得ない状況はエスニック・アイデンティティ獲得および自己確立において大きな課題となっている。
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