2004 Fiscal Year Annual Research Report
外国人労働者の定住化と都市底辺層の再編に関する社会学的研究
Project/Area Number |
15730243
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 薫子 山口大学, 教育学部, 講師 (70335777)
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Keywords | 外国人労働者 / 定住化 / 都市底辺層 / 市民活動 / 外国人女性 / 外国人子弟 |
Research Abstract |
平成16年度は、基礎的文献資料の収集等、聞き取り調査、参与観察法などによるデータ収集を行なった。具体的には、横浜・寿町地区、福山市、福岡市でそれぞれに活動する外国人支援団体関係者へのインタビューを通じて、外国人住民の生活・労働状況、外国人子弟の教育に関する状況、外国人住民の家族関係に関する状況について確認した。さらに、寿町地区では行政資料の収集および地域活動関係者にインタビューを行なうことによって地域の変容および再編について確認した。 新たに得られた知見は以下のとおりである。 1.寿町地区の高齢化と生活保護世帯の増加 寿町地区はバブル経済崩壊後、一貫して高齢化および生活保護受給率が増加傾向にあるが、平成16年度も同様である。簡易宿泊所は1990年代末から建て替えが進められており、現在は地区内ほぼ半数以上が新築である。宿泊料金は横浜市の生活保護・宿泊保護の支給額を念頭に設定されており、一般の労働者が宿泊できるような安価なものはほとんどない。こうしたことも寿町地区が生活保護受給者の集中地域と化してきたことの背景として指摘できる。 2.寿町地区の外国人住民の減少 寿町地区において1990年代半ば以降、外国人労働者人口は一貫して減少傾向にある。 3.福岡、広島地域での外国人住民の生活状況 外国人女性のうち、特に日本人と結婚した者が地方都市で生活する場合は、同郷ネットワークを利用しにくく、言語の問題などから就労、地域社会との関係形成も容易ではない。経済面だけでなく、社会的に夫に依存した生活を送っている者も多い。また、広島県で集住する日系ブラジル人は全体的に滞在が長期化する傾向にあるが、子弟の教育やことばの問題に対して親が積極的な対応をしていることは少なく、また制度的にも支援のシステムは構築されていない。教育現場や支援活動のなかでボランティア的に個人が対応するなど、問題解決の基盤は脆弱な状態にある。
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Research Products
(4 results)