2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15730248
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
堀田 恭子 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (20325674)
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Keywords | 公害被害者運動 / 自然環境保全活動 / リサイクル活動 / 新潟水俣病問題 / カネミ油症問題 / 長野冬季五輪 / スタート地点問題 / 地域自治会 |
Research Abstract |
平成15年度は、環境運動ならびに運動主体の生活史に関する国内外の先行研究の収集を主に行い、現在も読み込み、分析を行っている最中である。また事例研究として、新潟水俣病問題、埼玉県与野市(現さいたま市)の地域自治会のリサイクル活動、長野県白馬村八方尾根の自然環境保全活動について、それぞれ9月、10月、1月に現地調査を行った。主に、当事者をとりまく制度的状況や地域社会的状況についてのヒアリングならびに資料収集を行ってきた。また自然環境の保全活動の一種でもある棚田の保全活動にも着目して、あらたに棚田の保全活動を支える制度的状況を8月、12月、2月に長崎県内の棚田を中心に行った。同様に公害被害者運動も展開されてきた食品公害の当時者であるカネミ油症患者にも9月に聞き取り調査を行った。 現在は、公害被害者運動(新潟水俣病問題・カネミ油症問題)、利用されている自然環境の保全活動(白馬村八方尾根・長崎県内の棚田)、地域自治会のリサイクル運動をそれぞれ個別に、運動(活動)と制度の関連年表つくりを行っている。 一つの成果としては、利用されている自然環境の保全活動として長野県白馬村八方尾根の事例研究を、特に保全政策の形成過程を中心にして報告書としてまとめた(「自然資源の保護と利用に関する政策形成過程-長野冬季五輪男子滑降スタート地点問題を事例に-」『社会制御システム論にもとづく環境政策の総合的研究』報告書所収、科学研究費基盤研究(c)課題番号13610235代表:舩橋晴俊)。 来年度の課題として、運動とそれをとりまく諸制度、当事者の活動などを中心にして、それぞれの克服過程の再構築を行うとともに、環境運動の比較を行い、環境運動の個人における意味と制度との関係を明らかにし、環境運動の効果と限界、その可能性を明らかにしていく。
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