2003 Fiscal Year Annual Research Report
特別養護老人ホーム及びグループホームにおける看取りに関する研究
Project/Area Number |
15730261
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
大橋 美幸 東北福祉大学, 総合福祉学部, 講師 (10337199)
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Keywords | ターミナルケア / 特別養護老人ホーム / グループホーム / 痴呆 / 高齢者 / 家族 / 介護 / 施設 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者福祉施設における「看取り」の背景にある価値の構造と課題の把握を目的としている。3つの調査を行った。 1.看取りについて先駆的な取組みを行っている特別養護老人ホーム及びグループホームでヒアリング調査を行った。「天寿を全うする」「最期まで生き抜く」「人間らしく(その人らしく)」などの言葉から限りある命を主体的に生きるために配慮して施設での看取りが選択されており、一方で「家族と一緒に」「一度関わった人は最期まで」「隣ではこれまでの生活」などの言葉からこれまでの関わりやつながりをできる限り継続するよう考えられていることが推測された。 2.家族の集いにおいて、介護家族及び看取った家族の会話の参与観察を行った。「できるのなら最期はやはり家が良いと思う」と言いつつ、条件が整わず施設での最期を選択せざるを得ない状況が話された。また、「今更、手術などは思わないけれど、少しでも楽にすごせるのなら診てもらいたい」と言いつつ、転院や新たな検査などの負担が大きくあきらめざるを得ないことが話された。 3.市民公開講座においてグループ討議の参与観察を行った。参加者は介護家族及び看取った家族、介護スタッフ、介護経験がないものであった。自分の最期は「本人の希望が基本」「自分の思い通りにはならないのではないか」などの意見があり、高齢者自身に尋ねることについて「胃ろう造設について本人の意思確認はしなかった」「『終末についてどうしたい?』と聞くと、はじめて考える方が多いと思う」などの意見があった。 1.と2.から、高齢者福祉施設における「看取り」について、スタッフと家族の価値の構造に食い違いがあることが分かる。そして3.から、それぞれ希望を持っているものの、話し合う機会が少なく、周囲の人たちと価値が十分に共有されていないことが分かる。 今後、スタッフや看取った家族の振り返りから、価値の共有過程を検討したい。
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