2003 Fiscal Year Annual Research Report
特別養護老人ホームにおける権利擁護活動の実態と効果に関する研究
Project/Area Number |
15730262
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 修一 中部学院大学, 人間福祉学部, 講師 (20322430)
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Keywords | 施設オンブズマン / 苦情解決 / 権利擁護 / 家族 / 代弁 |
Research Abstract |
今年度は、大分県:清流園(特別養護老人ホーム)、北海道:旭ヶ丘の家(特別養護老人ホーム)で施設オンブズマン活動のヒヤリングを行い、権利擁護活動の基盤整備について整理した。 今回のヒヤリングによって、施設オンブズマン活動のスタイルの多様さを理解することができた。また、権利擁護活動の基盤として、苦情を言える環境・関係の大切さが明らかになった。 旭ヶ丘の家(北海道)では、施設オンブズマンを利用者の代弁者ではなく、職員と利用者の間に立つ純粋な第三者として位置づけている。一方で施設オンブズマンを利用者の代弁者と位置づける立場(清流園:大分県)があり、施設オンブズマンの位置づけが施設によって異なることがわかった。この作業によって、施設側や利用者側が期待するオンブズマンの役割についても注目する必要性が出てきた。 また、旭ヶ丘の家では、利用者の苦情や要望が職員レベルである程度解決されていることがわかった。職員レベルでの苦情解決がなされた結果、オンブズマンにあがってくるケースは必然的に少なくなるため、オンブズマンが受理した相談件数の多少によって、その施設の権利擁護活動を評価することは不十分である。このことは、施設オンブズマン活動を分析する前に、日常的な苦情受付体制がどのように整備され、機能しているか再検討することの重要性を提起した。 来年度の検討課題としては、利用者の権利擁護活動をさらに体系的に捉えるために、施設ごとの苦情解決制度の整備状況と機能分析をするとともに、質的・量的側面から、苦情や代弁に対する利用者、援助者、家族の意識を詳細に分析しなければならないと考えている。
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