2003 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者と介護者に対する在宅サービスの効果評価:介護保険導入前後の比較
Project/Area Number |
15730275
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
杉原 陽子 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所・社会参加・介護基盤研究グループ, 主任研究員 (80311405)
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Keywords | 介護保険制度 / 縦断調査 / 在宅サービス / 効果評価 / 地域標本 / 介護負担 / 施設入所 |
Research Abstract |
介護保険制度の導入に伴い、在宅サービスの利用量が増加しているが、在宅サービスの利用が介護者の負担軽減や在宅介護の継続につながっているのか、といった効果評価はあまり行われていない。本研究は、地域在住の高齢者の確率標本から要介護高齢者をスクリーニングし、その介護者を追跡調査することによって、在宅サービスの利用が介護者の負担軽減や施設入所の防止等に貢献しているか否かを擬似実験的に解明すること、さらに、その結果を介護保険導入前に実施した介護者のパネル調査の結果と比較し、介護保険導入前後で在宅サービスの効果がどのように変化したかを評価することを目的としている。15年度は以下の課題に取り組んだ。 (1)追跡調査の実施:2002年に、東京都下の一市部における65歳以上の住民の確率標本(10,000人)を対象に日常生活動作と認知能力に関する調査を実施し、要介護高齢者を把握、その主介護者に対して訪問面接調査を実施した(完了数595)。2003年は、この完了者に対する追跡調査を実施した。追跡調査時に高齢者が在宅療養を継続していた場合は「在宅用調査票」を、長期入院、入所、死亡していた場合は「入院・入所・死亡用調査票」を用いて訪問面接調査を実施した。調査完了数は526(在宅票完了436、入院・入所・死亡票完了90)であった。 (2)既存の横断調査データの解析:本研究の主な目的は、介護保険導入前と導入後にそれぞれ実施したパネル調査に基づき、在宅サービスの効果を縦断的に検討することである。しかし、それに先立ち、今年度は既存の横断調査データを用いて、在宅サービスの効果が介護保険前後でどのように異なるかを検討した。その結果、介護保険以前(1996年)は重度の痴呆性高齢者を介護していてもホームヘルパーを利用することにより介護者の入所希望が抑制されるといった緩衝効果が見られたが、介護保険後の調査(2002年)では、そのような効果が検出できなくなっていた。在宅サービスは量的に拡大しているものの、効果としてはまだ十分でない可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sugihara, Yoko, et al.: "Longitudinal changes in the well-being of Japanese caregivers : Variations across kin relationships."Journals of Gerontology : Psychological Sciences. (In press).