2003 Fiscal Year Annual Research Report
三宅島噴火災害における未就学児、および、その母親への支援活動に関する研究
Project/Area Number |
15730284
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
田中 優 大妻女子大学, 人間関係学部, 講師 (40316914)
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Keywords | 三宅島噴火災害 / 未就学児 / 被災者支援 / 援助効果 / 援助成果 / 心理的負債感 / 互恵的対人関係 / ボランティア |
Research Abstract |
平成15年度は、未就学児とその母親について、彼女たちが抱えた問題を明らかにし、育児サークルがその問題解決におよぼした成果を明らかにすることを目的としていた。そのために、被支援者となった母親への面接および質問紙調査を計画し、4月から8月にかけて、その準備を行った。まず、調査内容の設定のため、三宅島自主育児サークル「どるふぃん」への支援活動(平成12年実施)について、活動概要の整理をおこなった。そして、(1)避難生活で母親や子供達が抱えた問題について、(2)支援活動に対する被支援者としての感想(援助効果、心理的負債感)、(3)支援活動において支援者が得たものの予測(援助成果)を主な調査内容とした。これに基づき、8月に、7名の母親に対して面接調査を行い、9月から10月にかけて、母親6名に対して質問紙調査を行った。その結果、避難時に母親達は、全島避難までの被災によるストレス、時間的展望が持てない避難生活、非被災地における生活、育児環境の急激な変化、および、広域分散避難によるコミュニティーの崩壊からくる様々な問題を抱えていたことが明らかとなった。また、母親達は、支援活動に対する大きな満足、つまり、援助効果を得ていた。そして、支援活動に対する申し訳なさ、つまり、心理的な負債感をも同時に感じていた。しかし、母親達は、彼女たちを支援する女子学生が、支援活動から育児や災害などに関して、様々な学びを得ている事、つまり、援助成果があったと予測していた。効果的な支援活動を長期的に継続するためには、できるだけ大きな援助成果とできるだけ少ない心理的負債感が望ましいが、この心理的負債感を低減するものとして、支援者が得た援助成果の大きさが影響し、支援活動における互恵的対人関係が形成されていたと考えられた。
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