2003 Fiscal Year Annual Research Report
非行・犯罪者の自己統制能力形成過程と家庭環境―両親からのしつけの内在化とモデリングの観点から―
Project/Area Number |
15730313
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
河野 荘子 静岡大学, 教育学部, 助教授 (00313924)
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Keywords | 自己統制能力 / しつけ / 家庭環境 / 犯罪者 |
Research Abstract |
平成15年度は、受刑者の自己統制能力について、彼らが育ってきた家庭環境や家族状況との関連性を検討し、学会で口頭発表をおこなった。 本研究では、受刑者(拘置所に入所中の男性50名、平均年齢42.1歳)の自己統制能力と、家庭環境(受刑者が評定する「自分と両親との類似度」、「喧嘩や窃盗、他人をだますことなどの反社会的問題行動に対する両親からのしつけの程度」)、家族状況(就学前と独立時の2つの時期における両親の有無、家族の規模、経済状態)の関連性を検討するため、重回帰分析をおこなった。 その結果、1.家庭環境が自己統制能力に及ぼす影響を検討したところ、子どもの自己中心性には、母親の、危険を求め、易きに流れやすい傾向や易怒性が、欲求不満耐性の低さには、父親の易怒性が、それぞれ正の影響を及ぼしていることが示された。 2.家族状現が自己統制能力に及ぼす影響を検討したが、有意な回帰式は得られなかった。 となった。これらの結果から、家庭のしつけの厳しさは、子どもの自己統制能力を高める要因になりうることが示されたといえるだろう。 今回の結果からは、子どもの自己統制能力の形成に影響を与える側面が、両親それぞれで異なっている可能性が推測されたが、被験者数の問題があったため、共分散構造分析によるモデルの構築にまでは至らなかった。今後、さらに被験者数を増やしたり、親のしつけのあり方を他の方面からとらえなおしたりすることなどを通して検討を重ねていく予定である。
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