2004 Fiscal Year Annual Research Report
学校画を用いた学級崩壊現象に関するアセスメント,支援可能性の検討
Project/Area Number |
15730317
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Research Institution | Gunma Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
田中 志帆 群馬県立女子大学, 文学部, 助教授 (30325980)
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Keywords | 学校画 / 小・中学生 / SCT / 学級の荒れ / 将来の夢 / 縦断研究 / バウムテスト |
Research Abstract |
昨年度の調査を発表した学会時にいただいた意見を考慮し、学校画の描画特徴と被検者の心理状態の関連をより詳細に検討するために、本年度は別の投影法検査(文章完成法(SCT)、バウムテスト)による調査も合わせて行うことにした。調査対象は、昨年と同様の公立の小学校5校と中学2校である。まず第1段階として、小学3年生から中学2年牛までの2645名の児童・生徒にSCTの13項目と3つの願いごと、現在抱えているストレス、将来の夢、学級の荒れが生じた時の対処行動について尋ねる自由記述式のアンケートを実施した。第2段階として、動的学校画を3年前より継続の縦断研究として、昨年も学校画を描いた児童生徒を含む小学1年生から中学2年生まで実施した。第3段階としてバウムテストを学校画を実施した児童生徒の一部に実施した。また、クラスの担任の教員に「クラスで気になる子」が誰であるか、答えていただくアンケートを実施した。大量のデータのため現在解析中であるが、これまでに得られた知見は以下のとおりである。(1)学校画は他の投影法を含む心理検査と併用することで、アセスメントの精度が上がる。本年の学校画とSCT併用のアセスメントの結果は、児童のことがより理解されていたとの意見を調査対象校の先生方からいただいた。(2)学校画の特徴が、必ずしも子どもの心理を具体的に表現しているとは限らないものの、担任の先生から「気になる子」として挙げられた子どもの学校画の描画特徴には、人物像の身体のアンバランス(脚の省略など)、自己像の省略、下線や包囲の多用、統合度の低い内容(学校生活というよりも、ゲームの戦闘場面のような内容)が見られた。(3)子どもはストレスとして友だち関係のトラブルを挙げていることが多い。将来なりたい職業が「フリーター」である小学生もいた。(4)クラスが荒れている状態(学級崩壊状態)への対処行動について、学校画の統合度が低い子どもは「黙って見てる」や「ぶっとばす、なぐる」など暴力的解決、「自分も騒いで授業を妨害する」、という同調意志を示す回答が一部で見られた。以上から、動的学校画より子どものクラスでのストレス場面、対人葛藤場面での行動・態度がある程度推測可能であることが考えられた。
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Research Products
(4 results)