Research Abstract |
本研究は,社会不安障害(Social Anxiety Disorder : SAD)に対する集団認知行動療法(Cognitive Behavioral Group Therapy : CBGT)プログラムを開発し,治療効果を心理・行動的指標にて検討することを目的とした. 本プログラムは,適性判断セッション,治療セッションと,3ヶ月後および6ヵ月後のフォローアップセッションの合計9セッションから成り立っている.各セッションはセミナー形式で行われ,所要時間はいずれも2〜2.5時間である.治療セッションは,教育セッションと実践セッション(in vivoエクスポージャー,認知的再体制化,ソーシャルスキル訓練を行う)がそれぞれ3回,合計6回である. プログラムの効果を検討するために,心療内科・神経科Aクリニック(東京都内)を受診した,DSM-IVの診断基準を満たすSAD患者27名(男性12名,女性15名,平均年齢:36.7±10.6歳)を対象に,セミナー前後およびフォローアップ時に自記式質問紙について回答を求めた.また,主観評価のほか,他者による行動評定も行った.なお,質問項目は,(1)SPS&SIASの日本語版,(2)LSAS日本語版,(3)SFNE,(4)TKS(Kleinknecht, et al.,1997),(5)BDI(Beck, et al.,1979),であった. プログラムの効果を検討した結果,セミナー前に比べ,セミナー終了時の不安と回避行動,他者評価に対する恐れ,および,抑うつ得点が低下し,フォローアップ時まで対人恐怖症得点,および,他者評価に対する恐れの低下が引き続いていた.行動評定の結果から,視線,声の質,話の長さ,体の緊張,表情,ロールプレイの様子,会話の流れにおいて改善が有意であった.SADに対する集団認知行動療法の効果について理論的に考察が行われた.今後,プログラムの臨床場面における活用が期待される.
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