Research Abstract |
約6ヶ月間,倉敷市の協力を得て,1歳6ヶ月健康診査対象幼児をもつ保護者2322名に,7尺度60項目から成る気質質問紙(武井他,2003)を配布,回収数は1550,有効数は1349であった.60項目への回答結果に対して因子分析を行い,6尺度(否定的感情反応尺度,神経質尺度,順応性尺度,外向性尺度,規則性尺度,注意の転導性尺度)47項目のオリジナル質問紙を作成した(武井他,2004).α係数は0.65〜0.80で,信頼性は満たしていると考えられた.さらに,負荷量及び内容から18項目(3項目×6尺度)の簡易版質問紙を作成した.自由記述(武井他,2003)を参考に作成した幼児の特徴を示す25カテゴリー(特徴カテゴリー)と各尺度との関係を検討すると,気質質問紙の否定的感情反応尺度と外向性尺度は特徴カテゴリー内容とよく対応しており,神経質尺度と注意の転導性尺度は肯定的評価の特徴カテゴリーと関連していた(門田,武井他,2004).他の尺度(育児不安(育児困難感尺度,不安抑うつ尺度,非外向性尺度),育児態度(神経質傾向尺度,拒否的態度尺度,外向的傾向尺度),母性意識(母性意識肯定尺度,母性意識否定尺度),Child Behavior Checklist(以下,CBCL)日本語版の8尺度))との関係をみたところ(武井他,2004),否定的感情反応尺度の得点が高いと,育児不安の育児困難感尺度と不安抑うつ尺度,育児態度の神経質傾向尺度と拒否的態度尺度,母性意識の母性意識否定尺度,CBCLの全ての尺度の得点が高くなり,気質質問紙の神経質尺度の得点が高いと,育児不安の育児困難感尺度と育児態度の拒否的態度尺度と母性意識の母性意識否定尺度とCBCLの6尺度の得点が低くなり,育児態度の外向的得点と母性意識肯定尺度の得点が高くなった.以上のことより,1歳6ヶ月健診用オリジナル気質質問紙および1歳6ヶ月健診用簡易版気質質問紙の作成,尺度内容についての検討ができ,妥当な結果が得られた.
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