Research Abstract |
本研究は,中学生を対象とした効果的なストレスマネジメントプログラムの開発と効果の検証を目的とした.今年度の研究計画は,(1)中学生を対象としたストレスマネジメントプログラム実施に関する事前研修の実施,(2)中学校教師による中学校生徒を対象としたストレスマネジメントプログラムの実施,(3)プログラムを実施した教師を対象とした面接聴き取り調査等を行い,プログラム実施に関する注意点,問題点,今後の課題等を整理することであった. まず第一点目については,中学校,および近接領域である小学校におけるストレスマネジメント授業の実践を予定している教師2名を対象に事前研修を行った.具体的には,心理的ストレスの簡単な講義,リラクセーション法(漸進的筋弛緩法)の練習,他の教師等が実施したストレスマネジメント授業の録画ビデオによる学習,模擬授業等が研究代表者によって行われた.中学校教師は,研究代表者が作成した教示テープを参考に,リラクセーション法を円滑に実施するための教示CDを独自に作成して用いた. 次に第二点目として,中学校では各学年を対象として,教師によるリラクセーション法,および研究代表者による認知的評価に関する授業の実施を行った.また,小学校では4年生を対象として,友人関係におけるストレス場面に焦点を当てたストレスマネジメント授業を実施した. 第三点目として,授業実践後のインタビューでは,(1)事前研修やビデオ学習によって具体的な授業イメージを持つことができたこと,(2)学校現場でストレスマネジメント授業を実施するためには,他の教師の理解や協力が重要であること,(3)効果的な授業の実施には,クラスを構成するメンバーに応じてロールプレイやグループワーク等の授業実施方法を工夫することが重要であること,(4)ストレス耐性を高めるためには,一度だけの授業実施ではなく継続して行うことの必要性等が報告された.
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