2003 Fiscal Year Annual Research Report
音楽リズム知覚と情動喚起過程に関する潜在記憶とモダリティ特性からの生理心理的研究
Project/Area Number |
15730337
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
後藤 靖宏 北星学園大学, 文学部, 講師 (30326532)
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Keywords | リズム知覚 / 潜在記憶 / 音楽による情動喚起 / メタ認知 / コンピュータシミュレーション |
Research Abstract |
1.音楽リズム知覚の潜在記憶に関する実験研究 音楽におけるリズム的要素(厳密には"拍節構造(metrical structure)"の側面)の知覚には、潜在記憶の処理が関与している可能性を実験的に証明した。前年度までに、物理的側面である音価(note value)、音高(pitch height)、音色(timbre)という3つの要素と、心理的側面である音列の"拍節性"とが、共にリズムパターンの潜在記憶に関わっていることが明らかにしてきた。本年度はこの知見をさらに精微化するべくより詳細な実験を行った。実験変数として、1.拍節構造(2倍型拍節構造vs.3倍型拍節構造)、2.学習時の処理の様相(全体的処理vs.部分的処理)の2つを操作して記憶実験を行った結果、(1)学習時に全体的処理を行った場合は、音列の拍節構造に関わらず潜在記憶が確認された、(2)部分的処理を行った場合はいずれの場合も潜在記憶が確認されなかった、(3)潜在記憶が確認された場合のプライミング効果の"大きさ"は、2倍型拍節構造音列の方が、3倍型拍節構造のそれよりも、大きかった。 以上のことから、音楽のリズム的処理には、その昔列を構成する音の物理的特徴(音価、音高および音色)に加え、拍節性という心理的特徴も関与している可能性が示唆された。 2.音楽リズムと情動喚起に関する予備実験 音楽によって生じる情動がリズムによってどのように変化するのか(あるいは、変化しないのか)、および、その変化を自分自身で認知することができるのか、の2点を調べるために、"リズム"の種類が異なると考えられる複数の音楽を準備し、それを変数として印象評定実験を行った。ロック、バラードおよびクラシックの3種類の音楽について、それらの一部を聴取した後に自身の感情状態がどのようになっているかを調べた。これにより、今後の本実験に発展的に応用できる知見を得られつつある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] GOTO, Yasuhiro: "Characteristics of the process of musical rhythm perception by infants"Abstract book of VIII European Congress of Psychology. 318-319 (2003)
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[Publications] 後藤 靖宏: "音列の拍節構造の違いがリズムの潜在記憶に与える影響-2倍型拍節構造音列と3倍型拍節構造音列との比較-"日本心理学会第67回大会論文集. 755 (2003)
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[Publications] 後藤 靖宏: "メロディの類似性の知覚-類似性判断に使用される情報の特定-"日本音楽知覚認知学会2003年(平成15年)秋季研究発表会. 14-19 (2003)
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[Publications] GOTO, Yasuhiro: "Similarity perception of music What kind of information is used in judgment of similarity of music?"CD-ROM(未定). (2004)
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[Publications] GOTO, Yasuhiro: "Computational modeling between the processes of music perception and the evocation of emotion"The 18th International Congress on Acoustics. CD-ROM(未定). (2004)
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[Publications] 後藤 靖宏: "わたしそしてわれわれVer.ニューミレニアム 第2章 知覚のプロセス(大坊郁夫 編著)"北大路書房. 250 (2003)