2004 Fiscal Year Annual Research Report
マイノリティの文化的権利の構造と公教育の対応に関する研究-日本及びカナダの事例を通して-
Project/Area Number |
15730350
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岸田 由美 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 講師 (80334754)
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Keywords | 在日外国人教育 / マイノリティ / カナダ / トロント / 移民 / 母語教育 / 多文化社会 |
Research Abstract |
1.日本における民族文化学習権認識に関する調査 在日外国人教育に関連する学会や講演会,地方自治体や団体等による各種行事・研究会等に参加し,情報収集及び意見交換を行った。高槻市におけるマイノリティ教育権訴訟にも着目して情報収集を行った. 2.カナダ・オンタリオ州における民族文化学習権の認識及び保障形態に関する調査 2004年11月に3週間カナダを訪問し、(1)トロント市内の小学校5校を訪問しての見学及び参与観察、校長や教授スタッフへのインタビュー、(2)トロント地域教育委員会の民族文化的公正をテーマとした現職研修への参加、(3)研究所や大学での資料収集を行った。参与観察及びインタビューを通じて、学習者及び一般教員の中になお公用語以外の言語の学習に価値を見いださない態度、1970年代後半における第三言語教育導入時に語られたのと同様の否定的な論調が、行政の政策や研修にも関わらず現在まで残っていることが明らかになった。 3.マイノリティの文化的権利に関する国際的な理論動向の検討と日本の状況の相対的位置の確認 文献研究により、日本とカナダの文化的権利を巡る論調について、カナダが個人の権利を基本としつつ在住の時期・経緯に基づいた集団別権利を想定しているのに対し、日本の場合は個人への視点が弱く集団間及び集団内の多様性に踏み込まない集団的権利の用法が多いことが浮かび上がった。これについて2004年6月末に名古屋で開催された日本比較教育学会で報告、意見交換を行った。特に日本の状況については、同10月末にキューバで開催された世界比較教育学会で報告し、意見交換を行った。同学会に参加していたカナダの母語教育について研究しているマギール大学の研究グループについては、カナダでの現地調査の際にモントリオールを訪ねて面会し、移民の母語教育に関する研究動向、論点等について情報交換を行った。
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Research Products
(2 results)