2004 Fiscal Year Annual Research Report
国家施設型大学から法人型大学への転換過程に関するドイツ・オーストリア間の比較研究
Project/Area Number |
15730354
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 勉 京都大学, 教育学研究科, 助教授 (40263743)
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Keywords | 国立大学 / 法人格 / ニーダーザクセン州 / 大学改革 |
Research Abstract |
平成16年度は、3年計画の2年目にあたる。ドイツおよびオーストリアにおける国立大学の法人化および法人化以外の方法による大学の組織運営改革を主たる対象として、調査研究を推進した。 すでに、ドイツではニーダーザクセン州において、またオーストリアでは全国において、新大学法が施行されている。ところが、国立大学の設置形態の変更は、その後、ドイツにおいて他州へ普及していない。文献調査によると、州内の全部または一部の州立大学を法人格をもたない公営企業とする方法が優勢となっている。 このような組織形態は、改革の矮小化を意味しない。「管理」から「経営」へと大学運営の思考形態が明らかに転換しているからである。現地調査によると、ドイツのオルデンブルク大学とオーストリアのクラーゲンフルト大学が共同で学術および教育の経営を専攻する修士課程を開設するなど、新しい大学運営を支援する人材の育成が開始している。教育内容の重点が経営学にあることが特徴となっている。 このような変化は、国立大学への法人格付与を前提としない。関係者への意見聴取によると、ニーダーザクセン州の財団型大学は、他州において支持されていない。運営費を生み出すだけの十分な財産が付与されない以上、当初説明されたほどには運営上の自由度がもたらされないからである。従来の設置形態を大胆に変更することなく、運営の効率化をはかるのは、必然といえる。 以上のことをふまえて、次年度においては、設置形態を変更した後における法人型大学の評価を中心に検討することになろう。
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Research Products
(2 results)