アメリカ合衆国における州高等教育財政制度とその理念に関する研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15730357
• Research Institution: Yamaguchi University
• Principal Investigator: 吉田 香奈 山口大学, 大学教育センター, 講師 (30325203)
• Keywords: 高等教育 / 財政 / 補助金 / 予算過程 / 州立大学 / アメリカ / 管理運営

Research Abstract

本研究はアメリカ合衆国の州高等教育財政制度について(1)州高等教育財政制度の理念,(2)州高等教育予算の編成過程,(3)州高等教育予算の配分額算定方法,(4)個別大学における予算過程,(5)州の高等教育財政政策の効果、について検討を行うことを目的としている。
初年度は,州高等教育財政に関する一次資料と先行研究の収集を行い,特に,研究の目的(2)(3)を中心に,州の高等教育予算の編成過程と算定方法の特質や課題について検討を行った。アメリカでは州の高等教育予算,特に州立大学補助金の編成は州立大学の法的地位(州憲法法人,州法法人,州の一機関)や,州当局と大学間の調整を行う高等教育調整委員会の権限によってかなり異なっている。また,補助金額の算定については第二次大戦後に連邦・州政府から州・地方政府への補助金額を算定する手法として広く普及した「フォーミュラ予算(formula budgeting)が広く用いられており,公平な予算配分の手法として,また,州政府や州議会を納得させる客観的な手段として導入されている。ただし、その内容は州・大学によって異なっており,また近年は教育や研究の成果と評価と予算配分を結びつけるパフォーマンス予算(performance budgeting)を導入する州が増加している。しかしながら,パフォーマンスに基づく配分額は補助金全体の5%以下であり、基礎額の算定には依然としてフォーミュラ予算が用いられることが多い。そこで,本年度は,各州の大学の管理制度と補助金の算定方法について調査を行い,その特質について検討を行った。
なお,予定していた現地の訪問調査については産前・産後・育児休暇取得のため次年度に延期した。