2003 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリアにおける先住民コミュニティと学校の連携に関する研究
Project/Area Number |
15730381
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Research Institution | Hokkaido Bunkyo University |
Principal Investigator |
伊井 義人 北海道文教大学, 外国語学部, 講師 (10326605)
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Keywords | オーストラリア先住民 / トレス海峡島嶼地域 / 地域との連携 / リテラシー / 差異 / 格差 / 多文化主義 / 社会的公正 |
Research Abstract |
今年度は、先住民コミュニティと学校・教育省間の連携に関する調査を実施した。その対象地域として、クイーンズランド州においてトレス海峡島嶼民が全居住者に占める割合が高い地域を調査地として選定した。具体的には、(1)タウンズビル近郊の先住民コミュニティ、(2)トレス海峡島嶼の各島々(木曜島、モア島)の先住民コミュニティを事例とした。また、最新の教育政策の収集を目的としてキャンベラ、アデレードにも滞在した。 タウンズビルのジェームスクック大学では、遠隔地域に居住する先住民対象の教員養成コースが用意されている。そこでは、先住民の立場からの独自の教育内容を提供している。また、タウンズビル近郊の先住民コミュニティが独自に運営している一部寄宿制の中等学校も訪問した。ここでは、親元を離れて就学している先住民生徒へのケアの現状やリテラシー教育の課題など、インタビューを通して調査することが出来た。 トレス海峡では、木曜島においては、同地域における唯一の中等学校を訪問し、先住民コミュニティと学校などが共同で運営している「文化祭」に参加することが出来た。そこでは,学校長や地域住民の代表者とのインタビューを通して、毎年両者間において交わされる「合意」について聞き取り調査を行った。また、モア島では二校の初等学校を訪問して、同様の調査を行った。 キャンベラでは、連邦政府教育省が提示している最新の教育政策を入手すると同時に、先住民文化研究所やオーストラリア国立大学では、先住民コミュニティと学校の連携に関連した論文などを収集した。アデレードでは、遠隔地域からの先住民生徒が多く就学する大学を訪問した。 これらの調査により、先住民コミュニティと学校・教育省間の連携の様々な現状を見ることが出来た。来年度は、それらを踏まえ、教員養成とカリキュラム編成に焦点をあてて、実地調査を行いたい。
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