2005 Fiscal Year Annual Research Report
多言語社会イギリスにおける生徒の言語的多様性に対応した国語教育の研究
Project/Area Number |
15730388
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
中嶋 香緒里 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (20334021)
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Keywords | 言語的多様性 / 多言語・多文化共生 / イギリス / Language Awareness / 国語教育 / 言語意識学習 |
Research Abstract |
本研究は、多言語社会イギリスにおける言語的多様性に対応した国語教育論を試行モデルとして検討することによって、多文化・多言語共生の観点にもとづく国語教育の内容構成及びカリキュラム開発の視点を提出するための基礎的研究である。特に、イギリスにおいて、生徒の言語的多様性を国語科の中で意識させるようなアプローチ「言語意識学習(Language Awareness)」に着目し、その実践的課題を明らかにすることを目的としている。本年度は研究の最終年度となるため、これまでの研究成果をまとめることが第一の課題であった。しかし、中断のため、以下の成果となっている。 1.言語意識学習の実践的課題をより焦点化するために、メディア・リテラシーと作文教育の領域に焦点を絞り、資料収集及び分析を行った。資料は、比較のために日英両方のものを収集した。 2.第108回全国大学国語教育学会(2005年5月、山梨大学)に参加し、比較国語教育の研究者らと調査内容及び方法等について意見交換を行うとともに、イギリスにおけるメディア・リテラシーについての情報を収集した。 3.OECD(経済協力開発機構)による学習到達度調査(PISA)の国際比較結果に着目し、学力結果の日英比較を行うとともに、そこでの読解力に関する出題内容を分析した。また、PISAに対するイギリスでの反応を日本と比較し、多言語社会において求められるリテラシー(読み書き能力)の内容について検討した。その結果、メディア読解を含めて読み書き能力をとらえることが、多様化する生徒の言語的背景への対応の鍵となることがわかった。 再開後は、以下のことを予定している。 1.一昨年度現地校において調査した、生徒の言語意識に関するデータの分析結果を、全国大学国語教育学会(第111回、宮崎大学)において発表する。 2.イギリスにおける言語意識学習の展開と、今後の実践的課題についてまとめ、関係各所に送付・公開する。
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Research Products
(1 results)