Research Abstract |
本研究は,音楽的イメージの育成プログラムと評価システムを開発し,3年間かけてその有効性を検証しようとするものである。本年度は,その2年目にあたる。 昨年度までの間に,音楽的イメージの働きとその形成過程が,共振,知覚,楽曲の生成構造等との関わりから明らかになっている。また,その評価システムとして,(1)沈黙の活用,(2)ボディ・パーカッションとヴォイス・パーカッション,(3)即興演奏,(4)題名付け,という4つの柱を提案した。これらの理論的枠組みに基づき,音楽指導の実践に携わる研究協力者と共同で,その有効性を検証しながら,育成プログラムを開発することが,平成16年度の課題であった。 継続的な指導実践を通して,以下の3点について,具体的事例を収集することができた。 1.演奏活動においては,楽器操作と知覚に先立って,緊張-弛緩の関係が想起されなければ,音楽的イメージは有効に作用しない。 2.音楽的イメージが構造化されていく過程においては,前段階までに形成された運動プログラムがいったん分解され,再構成される。 3.グループ活動においては,正確な拍の保持にかかわる能力と動きをイメージする能力との間に,正の相関関係がある。 これらの事例に基づく育成プログラムについて,本年7月に開催される《The 5th Asia-Pacific Symposium on Music Education Research》で論文発表を行うことが決定している。 あわせて,上述の成果報告を英文にて作成した。音楽的イメージを主たる研究テーマとしているイギリスの音楽心理学者に協力を仰ぎ,国際比較研究への発展可能性を模索中である。
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