2004 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害児のバランス活動の制約とその支援方法に関する教育心理学研究
Project/Area Number |
15730405
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
奥住 秀之 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (70280774)
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Keywords | 知的障害 / 自閉症 / ダウン症 / バランス / 運動行為 / 運動速度 / 運動正確性 / 環境 |
Research Abstract |
本研究の目的は、知的障害児・者(以下、知的障害者と略す)のバランス活動の制約の実態を調べ、その原因を追究し、その制約への支援方法を考案することにある。本年度の目的は、昨年度明らかにした実態をさらに丁寧に調べるとともに、支援方法の柱となる原則を考えることにある。 昨年度(研究初年度)、歩行中に水の入ったコップを運搬させるという課題を設定して、バランス行為を見る視点として、運動速度と運動の正確性という2点が示唆されることを指摘した。すると、ダウン症者は運動速度でみると機能が低いと評価されるが、正確性で見ると必ずしもそのようには評価されないことがわかった。そこで、今年度は、手操作による物的バランスを検討するために、物体を手で移動させる課題を行った。右側の皿に入った複数の物体を左側の皿にできるだけ早くかつ落とさぬよう運搬するという課題である。健常者群と知的障害者群で、運動速度と正確性を比較してみると、運動速度は知的障害者群で著しく遅いが、正確性(落下の個数)で見ると、むしろ知的障害者群の方で成績が高い傾向にあった。 このことを支援の原則に当てはめると、いくつかの重要なポイントがあぶりだされてくる。一つには、評価は運動速度だけではなく正確性にも注目すること。二つには、それぞれの評価の視点が「強い」のか「弱い」のかを明らかにすること、三つには、「強い」側面がある場合には、それをまず大切にして伸ばすこと、四つには、その「強い」点を損なうことなく、「弱い」側面の支援に当たること、である さて、弱い側面の支援をする際、本人の機能を変えるということと、環境を変えるということがある。本研究では後者に重きを置いて支援をしたいと考えている。これは来年度の課題である。
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Research Products
(7 results)