2004 Fiscal Year Annual Research Report
公立中学校における軽度発達障害をもつ生徒への特別支援教育システムの開発
Project/Area Number |
15730406
|
Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
米山 直樹 上越教育大学, 学校教育学部, 講師 (90334698)
|
Keywords | 特別支援教育 / 軽度発達障害 / 公立中学校 / 小中連動 / 特別支援学級 |
Research Abstract |
昨年度の研究結果から、「学習支援」を名目に習熟度別学級を形成し、介入する予定であったが、保護者や教職員の間からも反対意見がおこり、この予定は取りやめとなった。このことは、特別支援教育に限らず、他の生徒と差別化を図ることへの強固な抵抗感があることを示すものと考えられた。そこで今年度は、(1)「中学校の普通学級に在籍している生徒で特別支援教育が必要と思われる事例」と、(2)「来年度小学校の普通学級から進学してくる児童で特別支援教育が必要と思われる事例」について事例研究をすすめ、特別支援教育に対する抵抗感と円滑な支援のあり方について検討を行った。(1)については毎年中学校で実施されている学習到達度検査の結果と、定期試験の成績とを比較して明らかに学力不振の状態にある生徒を選び、さらに当該生徒の日常生活や授業場面等の情報を担任を始めとする関係教員から収集して、最終的に2名の生徒を抽出した。その報告に基づき、校長と教頭が該当する生徒の保護者と面接して特別支援教育の必要性を説明したが、両者とも同意しなかった。次に(2)について、校区内にある小学校との情報連絡会で得られた情報に基づき、軽度発達障害の疑いのある児童に関しての情報連絡会を別個に中学校と小学校および専門家(研究者)で開催し、児童3名を抽出した。この保護者には当該市町村の教育委員会の担当者と中学校の管理職が面接し、特別支援教育の必要性を説明したところ、2名の保護者が同意したが、残り1名の保護者は同意しなかった。以上の事例から、既に通常学級に在籍している生徒が特別支援教育を受けるのは非常に強い抵抗感があること、小学校から中学校への進学等の状況の変化が伴う場合には、比較的容易に特別支援教育の枠内に収めることができることが明らかとなった。来年度は進学した生徒について追跡調査を行い、学校適応の状態について検討を加える予定である。
|