2005 Fiscal Year Annual Research Report
数論的多様体上のp進解析,p進層と可換および非可換なp進コホモロジーの研究
Project/Area Number |
15740005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志甫 淳 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (30292204)
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Keywords | クリスタル / 重み篩 / 対数的代数多様体 / 収束コホモロジー / リジッドコホモロジー / 連接性 / 過収束性 |
Research Abstract |
本研究の目的は標数p>0の代数多様体に対してp進解析的な意味でのよいp進層の理論を構築することである.この良いp進層の代表的な例としては標数p>0の対数的代数多様体の射f:Y→Xが与えられた時にX上に相対的p進コホモロジーとして定まる層がある.昨年度までに我々は射fが良いコンパクト化つきの平滑な開多様体の族から定まるものであるとき,相対的コホモロジーとして相対的対数クリスタルコホモロジーあるいは相対的対数収束コホモロジーを考えた時にこの相対的コホモロジーに重み篩という構造が入ることを見出していたが,今年度はまず昨年度までの結果に存在していた微妙な誤りを訂正し,論文を完成させた.クリスタルの圏からクリスタル景上の層の圏への関手は右完全ではあるが完全ではないという困難を,制限されたクリスタル景を使うことにより克服したことがポイントである.また,射fが固有かつスムースな時に相対的コホモロジーとして相対的リジッドコホモロジーを考えた場合,これの連接性および過収束性がBerthelotにより予想されているが,相対的リジッドコホモロジーと相対的対数解析的コホモロジー,相対的対数収束コホモロジー,相対的対数クリスタルコホモロジーとの比較を通じて,射fがよい対数構造を伴うコンパクト化を持つ時にこの予想を証明した.この予想は射fが標数0への持ち上げを持つ場合にはBerthelotにより示されており,また都築暢夫氏による部分的結果があったが,、今回の結果は射fが標数0への持ち上げを持たない場合では始めて得られた結果であると思われる.今回の結果と一般の場合の予想を結びつける議論の考察が今後の課題の一つである.
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