Research Abstract |
平成15年度には,次の成果をえた. 1.Mを複素数体上定義された非特異射影多様体,εをその上の階数rの豊富なベクトル束とする.(M,ε)のネフ値(nef value)τをτ=min{t=∈R|K_X+tdetεがネフ}で定める.このとき,(M,ε)のネフ値τが,1≦(n-2)/r≦τとなる場合の分類を得た.これは,r=1の場合のT.Fujita, P.Ionescuの分類,r=n-2の場合のH.Maeda, M.Andreatta-M.Mellaの分類を,1【less than or equal】r【less than or equal】n-2の場合に,ネフ値の観点から拡張したものである.また,この成果を,高知大学における研究集会「射影多様体の幾何とその周辺」で,「Classification of generalized polarized manifolds by their nef values」と題して,講演発表した. 2.(P,L)を複素数体上定義された非特異な偏極多様体とし,(P,L)は二つの異なるscroll構造π:P→Mとψ:P→Nを持つとする.ここで,scroll構造とは次のような性質をもつ正則写像π:P→Mのことである:πの任意のファイバーは,一定の次元の射影空間と同型であり,かつ,Lを各ファイバーに制限した直線束は,射影空間の超平面に対応する直線束に同型である.このとき,PのPicard群が階数2の自由加群で,dim M+dim N-dim P=1,かつ,dim N≦dim M≦2dim N-1ならば,Mは射影空間,Nはその双対空間であって,PはMとNの結合対応(incidence correspondence)になる.また,この成果を,琉球大学におけるミニワークショップ「Castelnuovo-Mumford Regularity for Projective Varieties and its Related Fields」で,「On a polarized manifold with two scroll structures of certain type」と題して講演発表した.
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