Research Abstract |
本研究の目的は,計算困難な整数計画問題に対して,主算法によるアプローチを使って,効率的な厳密解法を構築する,というものである.この目的の実現のため,昨年度は解きやすい非線形整数計画問題の数理的構造とアルゴリズムについて研究を行ってきた.この研究をさらに発展させるために,本年度はより一般的な非線形整数計画問題に注目し,その数理的構造とアルゴリズムに関する調査及び研究を行った. 本年度は特に,次元が定数の場合の(線形目的関数の)整数計画問題に対する既存の研究について調査を行った.一般に解く事が難しい(NP困難な)整数計画問題であるが,次元を固定すると多項式時間で解ける,という結果が知られており,これについて調査を行った.この証明で使われているアイディアは目的関数が非線形の場合でも利用可能なことがわかり,現在この方針に基づく効率的なアルゴリズムを構築中である.また,次元が固定されている場合には,多面体に含まれる整数格子点の数を多項式時間で計算可能である,という結果が知られている.この論文では,有利関数を利用して,多面体に含まれる整数格子点集合をいわば「暗号化」しているのであるが,近年,この技法は整数計画に関連する様々な問題で利用されている.我々の課題である非線形整数計画問題にこの技法を如何にして有効利用するか,検討を進めている. また,整数計画問題に対する新たな厳密解法として注目を浴びている「整数基底法」についても調査を行い,どのような非線形整数計画問題に対して適用可能であるか,検討を行った.
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