界面運動,結晶成長モデル,及び自由境界問題の数理解析

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15740073
• Research Institution: University of Miyazaki
• Principal Investigator: 矢崎 成俊 宮崎大学, 工学部, 助教授 (00323874)
• Keywords: クリスタライン運動 / クリスタライン・アルゴリズム / 爆発現象 / 界面運動 / 曲率流方程式 / 自己相似解 / 数値近似 / 結晶成長

Research Abstract

「(1)曲率流方程式の自己相似解の分類」、「クリスタライン曲率流方程式の、(2)解の爆発現象、(3)その数値的検証、(4)非凸な自己相似解の例の構成」、および「(5)面積保存曲率流方程式のクリスタライン近似の収束性の証明」の各事項において、研究成果、もしくは萌芽的予備的研究成果を得ることができた。以下にその概説を記する。
(1)Abresch and Langer(1986)の古典的曲率流方程式の自己相似解の分類の証明にはギャップがあり、中村健一氏(電気通信大学)と共に、その点を修正し、新たな証明方法を提案した。この方法は、一般化曲率流方程式の自己相似解の分類の一部にも適用することができた。完全な分類は同時期に提出されたAndrews(2002)によってなされているが、その証明は本質的に異なる。
(2)クリスタライン曲率流方程式の解の爆発現象について、石渡哲哉氏(岐阜大学)と共に、いわゆるタイプII型と呼ばれる爆発のオーダーの抽出に成功し、国内、および国際学会で発表され、論文雑誌に掲載された。
(3)しかしながらすべての爆発のオーダーの理論的抽出にはまだ成功していない。そこで、そのオーダーの予見も含め、小澤一文氏(秋田県立大学)・廣田千明氏(同)らと共に、同氏らが開発した爆発時刻の近似法を適用し、タイプII型のオーダーの予想を明確に打ち立てることができた。
(4)石渡哲也氏(前出>・牛島健夫氏(東京理科大学)・柳下浩紀氏(同)らと共に、クリスタライン曲率流方程式の非凸な自己相似解曲線の例を2つ構成することができた。凸性形成については、未解決な部分が多く、この2例はその包括的な解決に向けて格好の材料を提供したこととなった。目下、投稿準備中である。
(5)牛島健夫氏(前出)と共同で、面積保存曲率流方程式のクリスタライン・アルゴリズムの提案とその近似収束性の証明を与えることができた。解のアプリオリ評価と離散ソボレフノルムを用いたことがその証明の鍵となった。

Research Products

• [Publications] T.K.Ushijima, S.Yazaki: "Convergence of a crystalline approximation for an area-preserving motion"Journal of Computational and Applied Mathematics. 166. 427-452 (2004)
• [Publications] T.Ishiwata, S.Yazaki: "On the blow-up rate for fast blow-up solutions arising in an anisotropic crystalline motion"Journal of Computational and Applied Mathematics. 159. 55-64 (2003)
• [Publications] 矢崎成俊: "雪の結晶成長機構のシミュレーション-横山・黒田モデルの研究-"菅平スキー科学セミナー講演資料集. 7. 6-13 (2003)
• [Publications] 矢崎成俊: "結晶成長モデルの解析"数学セミナー. 42. 18-23 (2003)
• [Publications] T.Ishiwata, S.Yazaki: "The notes on a fast blow-up solution arising in an anisotropic crystalline motion"Suurikaisekikenkyuusho Kookyuuroku. 1313. 86-98 (2003)
• [Publications] T.K.Ushijima, S.Yazaki: "On a crystalline approximation for an area-preserving motion"Suurikaisekikennkyuusho Kookyuuroku. 1313. 65-85 (2003)