2004 Fiscal Year Annual Research Report
マルチンゲールに対するエントロピー法の理論と統計的応用に関する研究
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15740079
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
西山 陽一 統計数理研究所, 統計基礎研究系, 助手 (90270412)
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Keywords | マルチンゲール / 確率過程 / 弱収束 / 確率解析 / エントロピー / 拡散過程 / 変化点 / 仮説検定 |
Research Abstract |
本年度の研究の第一目標であった、拡散過程の変化点問題を解決できたのが、最大の成果である。すなわち、拡散過程におけるドリフト項に未知パラメータが入ったモデルにおいて、観測期間内に変化が起こったかどうかを検定するための統計量を提案し、その漸近挙動を導出した。その際、マルチンゲールに対するエントロピー法に属する二つのテクニックが有用であった。一つは主要項の漸近分布を求めるための一様中心極限定理で、これは私が2000年に発表した結果が有用であった。もう一つは誤差項を評価するための一様大数の法則で、これは新たに発展させた結果を用いるものであった。 その結果は、11月上旬にオランダ王国ユトレヒト大学に出張し、その統計コロキウムにおいて発表した。その際、活発な議論が行われた。また、1月上旬にフランス共和国メーン大学において開かれた国際シンポジウムにおいても発表し、今後の研究の方向を示す有益な議論を行った。すなわち、一様大数の法則はそれ自身研究価値の高いものであり、より洗練された結果を求めるべきであるということが出席者のひとりとの議論を通じて分かった。また、3月中旬に行われた統計数理研究所の年度研究報告会では、ジャンプがある確率過程の場合への拡張が応用上重要であることが聴衆のひとりのコメントからわかった。これら3回の講演を含めて、本研究に関する研究発表を今年度に大小あわせて8回行い、それぞれが有益な機会となった。
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