2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15740086
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中西 賢次 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (40322200)
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Keywords | 非線形波動 / 保存則 / エネルギー空間 / 特異極限 / 双線形評価 / 孤立波解 / 散乱理論 / 時空評価 |
Research Abstract |
1.方程式の対称性を表す保存則を解の大域構造の解析に結びつける方法を、方程式のパラメーター変化に伴う極限移行において模索した。具体的にはZakharov方程式系に対する非線形Schrodinger方程式近似について解の収束を調べた。この方程式系は分散性の異なる2種の波動が相互作用している点が特徴で、初期値問題の適切性については、それを利用した双線形評価を用いてエネルギー空間で得られているが、極限移行に関しては解の滑らかさに非常に強い条件が課されていた。これは2種の波動が共鳴する周波数が発散するので極限に沿って一様な評価ができないためである。我々は共鳴部分の周波数帯を分離して近似的エネルギー保存則を適用し、それ以外の部分の双線形評価と組み合わせる事で従来より広い空間で収束を示した。ただしまだエネルギー空間に到達しておらず、エネルギー評価と双線形評価の更なる融合が必要と考えられる。 2.非線形波動方程式の一般解の大域挙動を調べる第2段階として、非線形Schrodinger方程式の孤立波解近傍の解をエネルギー空間で時間大域的に解析した。孤立波解が存在しない場合エネルギー空間での散乱理論は一応の完成を見ているが、孤立波解が存在する場合はそれによって常駐する相互作用の処理に解の空間的減衰度を必要としていた。しかし基底状態はエネルギーによって特徴付けされ、また保存則と無関係な空間では線形問題の摂動以上の解析は不可能なので、エネルギー空間での解析は不可欠である。我々は最も簡単な場合として線形ポテンシャルから生じる小さな孤立波解を調べ、時間L^2型のStrichartz時空評価を用いてエネルギー空間の散乱理論を構築した。ただし、孤立波の軌道の漸近挙動が強く制御できないため波動作用素の一意性の問題が残されている。
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