2004 Fiscal Year Annual Research Report
双曲型方程式の幾何学的対称性と非線型方程式の時間大域解の存在及び散乱問題の研究
Project/Area Number |
15740092
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
肥田野 久二男 三重大学, 教育学部, 助教授 (00285090)
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Keywords | 半線型波動方程式 / Strichartz型評価式 / Morawetz型評価式 / 初期値問題 / 適切性 / Low-regularity solutions / 局所エネルギーの可積分性 / 藤田・加藤の原理 |
Research Abstract |
Strichartz型評価式やMorawetz型評価式、あるいは局所エネルギーの可積分性評価式をもちいて、半線型波動方程式の初期値問題の適切性を、とくに初期値のなめらかさが低い場合に考察した。具体的には I.望月やKeel-Smith-SoggeおよびMetcalfeらにより示されていた局所エネルギーの時間変数に関する可積分性評価式をスケール不変な不等式に精密化させて時間局所的な形で導出し、その不等式を半線型波動方程式の初期値問題の2乗可積分関数空間における適切性に応用した。空間次元が4以上であるときのLindblad-Soggeの条件は、球対称解については最良ではないことを示した。 II.球対称な初期値(したがって球対称な解)については、Strichartzの評価式とMorawetzの評価式を統一的に導けることに着目して、時空q乗可積分Morawetz型評価式を球対称解に対して示した。それとLi-Zhouの技術を用いて、半線型波動方程式の初期値問題の適切性を考察した。たとえばJohnの半線型波動方程式の初期値問題の小さな時間大域解の存在に関する古典的結果に対して、藤田・加藤の原理に沿って別証明を与えた。 III.線型評価式自身の興味として、Keel-Smith-Soggeの空間3次元における局所エネルギーの時間可積分性評価式(これは特に望月の評価式の臨界版とみなせる)が一般次元でも成立するかを横山和義氏と共同で調べて肯定的な結果を得た。これは、後にAlinhacが論文中で提起した二つの問題のうちの一つを解決してしまっていたことに相当した。
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Research Products
(1 results)