2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740108
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
竹村 剛一 横浜市立大学, 総合理学研究科, 助手 (10326069)
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Keywords | 量子力学 / 量子可積分系 / ホインの方程式 / モノドロミー / 楕円関数 / 超楕円積分 / Hermite-Krichever仮説法 / 有限帯ポテンシャル |
Research Abstract |
ガウスの超幾何微分方程式は、数学のみならず物理などにも頻繁に登場するものであり、球面上3点に確定特異点を持つフックス型の微分方程式として数学的に特徴づけできるものである。確定特異点を4点にもっているフックス型の微分方程式の標準形はホイン(Heun)の方程式と呼ばれるものであり、これを調べることはBC_1型Inozemtsev模型という量子力学の1粒子の模型を調べることと等価であることが知られている。 研究代表者は、ホインの方程式がガウスの超幾何微分方程式から摂動して得られるという認識のもとで、Kato-Rellichの理論が適用できることを示し、そして、微分方程式の摂動による解の収束性などを証明し、準可解性と呼ばれる性質との関係も考察した。 また、別の視点となる有限帯ポテンシャルの理論をもとにして、ホインの方程式(微分方程式)の解のモノドロミーの超楕円積分による表示式を得て、固有値の分岐に対しての応用も導き出した。この過程で、ある3階の微分方程式の解として得られる楕円関数が重要な役割を果たしており、この関数は超楕円積分によるモノドロミーなどの具体形の表示に用いられる。さらに、Hermite-Krichever仮説法という手法を発展させて、ホインの方程式のモノドロミーを介在させることによって超楕円積分と楕円積分を結ぶ公式を導き出す機構を解明し、いくつかの新しい公式を具体的に得ることができた。 また、ホインの方程式とパンルベ方程式の関わり合いについては、フックス型の微分方程式を通じて、それぞれの2パラメータをもつ特殊解においても対応していることがわかった。
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Research Products
(2 results)