2004 Fiscal Year Annual Research Report
高空間分解能数値流体計算による「惑星落下問題」の再検討
Project/Area Number |
15740116
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 秀和 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (00282814)
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Keywords | 惑星形成 / 原始惑星系円盤 / 輻射輸送 / ダスト |
Research Abstract |
本研究の昨年度の結果から,惑星がその重力で原始惑星系円盤にギャップを形成することで,惑星落下の問題は回避できることが明らかになった。又,この惑星によるギャップ形成は原始惑星系円盤の温度に大きく左右されることもわかった.従来用いられてきた林モデルにおける比較的高めの円盤温度を採用すると,ギャップ形成は惑星がかなり大きくなるまで(地球質量の10倍程度まで)起こらないことが明らかになった.しかし,林モデルにおける円盤モデルの見積もりは非常に簡単なもので,不定性は大きい.例えば,保温効果として働くダストが成長しそのサイズが変化すると円盤の温度は大きな影響を受けるが,そのような変化は林モデルでは考慮されていない.そこで今年度は,原始惑星系円盤でのダスト成長と沈殿の数値計算を行ない,ダスト沈殿成長による原始惑星系円盤の温度の進化を調べた.原始惑星系円盤の加熱源は,中心星からの放射加熱が主要なものである.原始惑星系円盤内でダストが赤道面へ沈殿していくと,円盤が中心星からの光を受ける面は下降していく.その結果,円盤が中心星から受けるエネルギー量は減少し,円盤温度は低下する.この様なダスト沈殿成長による円盤温度進化を、Chiangによる2層モデルを用いて計算した.我々の結果によると,ダスト沈殿による光吸収面の降下は,太陽質量を持つ星の周りの百万年程度で進行する.これは従来の研究と調和的である.この光吸収面の降下に伴う円盤冷却の結果,百万年以降には,円盤温度は林モデルの温度の1/3以下に低下する.その結果,氷粒子は水星軌道以遠で存在できるようになる.これより地球形成領域でも氷微惑星が存在したと考えられる.この温度低下は,ギャップ形成にも大きな影響を与える.これによりギャップ形成は容易になり,火星サイズ程度でもギャップ形成は可能になる.従って,この温度低下は惑星落下問題においても重要な結果である.
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Research Products
(3 results)