2004 Fiscal Year Annual Research Report
極光度X線天体を通じた高光度降着円盤および巨大ブラックホール形成過程の研究
Project/Area Number |
15740119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 浩典 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90311365)
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Keywords | 中質量ブラックホール / ブラックホール形成過程 / スターバースト銀河 / X線CCD / X線CCD / X線偏光 / ガスマイクロピクセルチェンバー / X線天文学 |
Research Abstract |
我々は極光度X線天体が潜んでいる可能性が高い銀河としてスターバースト銀河NGC2146を選び、米国チャンドラ衛星でX線観測を行った。その結果、中性子星のエディントン光度を上回る大光度を持っ天体をいくつか発見した。これらは、中質量ブラックホールの候補であり、今後スペクトル解析などのさらなる研究を行う予定である。また、これまで発見されていなかった銀河中心核からのX線放射を発見した。その光度は通常の銀河中心の大質最ブラックホールからの放射に比べれば大変低い。このことは、NGC2146の銀河中心核に存在するブラックホールは、通常の銀河中心ブラックホールに比べて質量が低く、もしかすると巨大ブラックホールへと成長途上にあることを示唆するのかもしれない。今後は、我々が発見した中質量ブラックホール候補天体との関連にも注目し、巨大ブラックホール形成過程を明らかにする予定である。また、極光度X線天体を持つスターバースト銀河M82の電波観測を行い、極光度X線天体周辺に巨大膨張分子雲を発見し、さらにこの分子雲の内側で激しい星生成活動が行われていることを明らかにした。これは中質量ブラックホール形成と星生成活動に関連があることを示唆している。また、我々は極光度X線天体周辺の降着円盤の物理を解明するには、硬X線撮像分光観測、X線偏光観測が鍵を握ると考え、前者のためにX線CCD開発、後者のためにガスマイクロピクセルチェンバーの開発を行った。X線CCDは、表面照射型、裏面照射型の両方の開発に成功した。これまでは一般に、エネルギー分解能において裏面照射型は表面照射型に劣っていたが、我々はほぼ同等のエネルギー分解能をもつ裏面照射型の開発に成功した。これらは、X-ray Imaging Spectrometer (XIS)として、実際に2005年夏に打ち上げ予定のAstro-E2衛星に搭載される。ガスマイクロピクセルチェンバーについては、従来のストリップ読み出し型ではなく、ピクセル読み出し型の開発に成功し、実際にKEK Photon Factoryの放射光を用いた偏光検出実験を行い、確かに偏光検出可能であることを実証した。
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Research Products
(6 results)