2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740120
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
坪井 陽子 中央大学, 理工学部, 専任講師 (70349223)
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Keywords | X線天文学 / フレア / 原始星 / 前主系列星 / 褐色矮星 |
Research Abstract |
「チャンドラ」を用いて近傍の暗黒星雲のX線探査を行ない、Class 0/I原始星からのX線検出の有無について調べた(IAUシンポジウムにて招待公演)。より分子雲に埋もれたClass 0原始星に関しては現状の観測では感度が十分にないため我々が検出したClass 0候補以外は検出できていないが、Class I原始星は全ての分子雲においてほとんど全てがX線を出している可能性が高いことがわかった。 Hyades領域において、褐色矮星のなかでもきわめて惑星に近い質量を持つ天体からX線を検出した(Atrophysical Journal Letter 55,L653、および記者発表)。今まで検出されてきた褐色矮星のサンプルと比較することにより、X線の輝度の減衰は温度の減衰よりも早く起こることがわかった。この進化の仕方は質量のより重たい太陽程度の天体の進化とよく似ており、X線放出のメカニズムは両者で共通なのではないかと結論付けた。 Rho Oph分子雲における前主系列星のフレアを統合的に解析した(PASJ 55,653)。フレアの総数は71であり、これは主系列以前の天体における最も大きな標本である。解析の結果、進化段階つまりディスクのあるなしにかかわらずプラズマループの長さは星のサイズと同程度であり、進化が進むにつれて磁場が弱くなっていくという描像が得られた。従来、若い星における磁気活動は星とディスクとを結ぶループのつなぎかえによって起こるという説が多く考えられてきた。しかし今回、星の進化段階にはかかわらず磁気活動は太陽に見られるような星表面での現象で最も説明がつくことが示唆された。 オリオン分子雲をNewton-XMM衛星で4回観測し、前主系列星のいくつかから大きなフレアを検出した。そのうちひとつは元素組成比がフレア中に変化していた。他のひとつはグレーティングのデータも解析可能であり、詳細な分光解析を行った結果、YSOとしては初めてフレア中のドップラーシフトを検出した(日本天文学会秋期、春季年会にて発表)。 WC7型+O4〜5型の連星系であるWR140をチャンドラ衛星で2回観測した。それぞれのフェーズでのNe edgeの構造、水素状に電離したNeのKβ、Kγの強い輝線の強度からX線放射が星風の衝突領域で最も優勢に行われていることを強く示唆した(日本天文学会秋期、春季年会にて発表)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yohko Tsuboi: "X-Rays from Class 0/I Protostars"proceedings of IAU symposium "Star Formation at high Angular Resolution". (to be published). (2003)
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[Publications] Imanishi, K., Nakajima, H., Tsujimoto, M., Koyama, K., Tsuboi, Y.: "A Systematic Study of X-Ray Flares from Low-Mass Young Stellar Objects in the rho Ophiuchi Star-Forming Region with Chandra"Publications of Astronomical Society of Japan. 55・3. 653-681 (2003)
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[Publications] Tsuboi, Y., Maeda, Y., Feigelson, E., et al.: "Coronal X-Ray Emission from an Intermediate-Age Brown Dwarf"The Astrophysical journal. 587・1. L51-L54 (2003)