2003 Fiscal Year Annual Research Report
新素材キャピラリープレートガス比例計数管を用いた宇宙X線偏光度検出器の開発研究
Project/Area Number |
15740133
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
門叶 冬樹 山形大学, 理学部, 助手 (80323161)
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Keywords | X線天文学 / X線偏光計 / ガス検出器 / キャピラリープレート |
Research Abstract |
本研究の目的は、新しい概念の優れた位置分解能を有するX線検出器であるキャピラリープレートガス比例計数管(CGPC)を用いて、広いエネルギー領域に高い感度をもつ飛翔体搭載用撮像型宇宙X線偏光度検出器の実用化に向けた開発研究である。偏光X線が,ガス中で光電吸収されるとき光電子の射出方向に指向性があり、この電子のガス中での電離による飛跡の測定によりX線の偏光度が検出できる。本研究では、CGPCの『飛翔体搭載用撮像型宇宙X線偏光度検出器』としての実用化に向けた基礎開発研究を行う。 具体的には、CGPCのガス中でX線光電吸収により生じた電子雲がキャピラリー管内で生成する励起発光をFiber Optics Plate(FOP)を介して光電子増倍菅やCCDカメラで検出するシステムを開発し、従来の光学系を用いたシステムと比べて約10倍の光量増加を目的とする。本年度は、本システムの開発・設計浜松ホトニクスと共同で行った。次に、本システムに封入するガスの選定をキャピラリーガス撮像装置を用いて行った。選定したガスはAr(90%)+CF_4(10%)混合ガスで、ガスを充満した専用ガスチェンバーにキャピラリープレートを設置し、5.9keVのX線を入射させて、ガス増幅度、エネルギー分解能、励起発光特性の基礎特性試験を行った。以上の基礎特性試験から、Ar+CF_4混合ガスを充填したCGPCはX線に対して十分な発光特性を示していることがわかった。また、可視光から赤外線に至る波長領域における発光特性がCCD素子ならびにCMOSセンサーの量子感度に良くあっていることから、CGPCとCMOSセンサーを用いた撮像型X線偏光計に使用する充填ガスとして最も適したガスの一つであることがわかった。 さらに、本検出器の放射光施設での偏光X線特性試験に備えて高輝度光科学研究センター(SPring-8)および高エネルギー加速器機構のフォトンファクトリー施設での偏光X線の偏光度測定を行った。以上の成果については、応用物理学会で2件、物理学会で1件の口頭発表を行った。
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