2004 Fiscal Year Annual Research Report
曲がった時空上の超弦理論とホログラフィック・デュアリティー
Project/Area Number |
15740138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 祐二 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70291333)
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Keywords | 超弦理論 / 超対称性 / 共形場理論 / ホログラフィック双対性 / D-ブレーン |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、N=2超対称リュービル理論を曲がった時空上の超弦理論に応用する研究を行った。まず、非コンパクトカラビ・ヤウ多様体上の超弦理論に関する系統的な研究を行った。閉弦のセクターについては、モジュラー不変分配関数と楕円指数の計算、更に物理的に重要なmassless状態のスペクトルの解析を行った。開弦のセクターについては、D-ブレーンスペクトラムとannulus振幅、とりわけ開弦のウィッテン指数についての詳細な解析を行い、モデルの物理的および幾何的解釈に対して一定の成果を得た。この研究を通じ、我々が解析したモデルは、現在超弦理論における様々なホログラフィック双対性の研究において重要視されている、「コニフォルド」と呼ばれる特異性を持ったカラビヤウ多様体の自然な拡張とみなされることが明らかとなった。 また、N=2超対称リュービル理論の別のシステムへの応用として、NS5-ブレーン背景上の時間に依存するD-ブレーンの詳細な研究を行った。超弦理論における時間に依存する系の研究は、宇宙論への応用も視野に入れ、現在多くの研究者にその重要性が認識されている。この研究では、特にNS5-ブレーンからの重力相互作用を受けて運動するD0-ブレーン('D-pariticle')のダイナミクスを境界共形場理論を用いたアプローチによって詳しい解析を与えた。主要な解析結果として、D0-ブレーンからの閉弦の放出率に関し、'見かけ上の'ハゲドーン的振るまい(弦理論で非常に高温で起こる現象)が出現することを示した。この研究は現在も更に継続させており、ブラック・ホールに吸収されるD0-ブレーンの時間に依存するダイナミクスへの応用を試みて、一定の成果を得るに至っている。(現在、論文を準備中。)
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Research Products
(3 results)