2003 Fiscal Year Annual Research Report
ガンマ線バーストを用いた初期宇宙の赤方偏移を同定する赤外分光器系の開発
Project/Area Number |
15740149
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米徳 大輔 金沢大学, 理学部, 助手 (40345608)
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Keywords | ガンマ線バースト / GRB / グリズム / 赤方偏移 / 初期宇宙 / 可視光 / 赤外線 / 望遠鏡 |
Research Abstract |
宇宙遠方で発生したガンマ線バースト(GRB)の赤方偏移を測定する目的で、グリズム分光素子の製作を行なった。今年度は特に可視光観測用グリズムに重点を置き、設計・製作を行なった。いつ、どこで発生するか分からないGRBの残光を検出器視野内に導入し、明るい場合は分光観測を行なうため、グリズムのON/OFFを即座に切替えられるようなシステムが必要となる。そこで我々は、宇宙研屋上の望遠鏡の主鏡・副鏡構造を忠実に模擬したレイ・トレースシミュレーションを行ない、『収束光の中にダイレクトに挿入できるグリズム』を新たに製作することに成功した。分解能は小さいが収束光の中でも十分な分光観測が可能なものに仕上がっている。 また、中村卓史氏代表の基盤研究Aと協力して、視野を拡大するための光学系の開発にも着手した。グリズム素子を導入した際に最も効率が良くなるように、収差を取り除く工夫も施してあり、視野を30%広げることに成功した。シミュレーションは本研究の枠組みで行ない、レンズの費用は基盤研究Aで賄った。 我々の観測では赤方偏移を10%の誤差で求めることができれば十分と考えている。実際の観測で得られた性能としては、遠方のクェーサー天体を分光観測した際に、誤差10%程度で赤方偏移を固定する事ができたため、設計値は満足しているものと考えている。また、600秒の露出時間で13等級のクェーサーが分光できているため、14〜15等星が分光時における限界等級であると予想している。この結果から、GRB発生後から数分で分光観測を開始すれば十分な観測成果が挙げられると予想できる。 来年度は赤外線用グリズムの製作に着手し、可視・赤外の両面から分光観測ができる装置を組み上げる予定である。これにより、2004年度9月に打ち上げ予定のGRB観測衛星「Swift」と連動した観測体制を整え、遠方宇宙のGRBの赤方偏移同定に挑戦する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] D.Yonetoku et al.: "GRB Formation Rate Inferred from the Spectral Peak Energy-Peak Luminosity Relation"Astrophysical Journal. 2004107/10発行予定(accepted). (2004)
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[Publications] R.Yamazaki, D.Yonetoku, T.Nakamura: "An Off-Axis Jet model For GRB980425 and Low-Energy Gamma-Ray Burst"Astrophysical Journal. 594L. 79 (2003)
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[Publications] T.Murakami, D.Yonetoku, H.Izawa, K.Ioka: "One Approach to the Star-Formation History Inferred from the GRB Lag-Luminosity Relation"Publications of the Astronomical Society of Japan. 55L. 65 (2003)
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[Publications] D.Yonetoku, T.Murakami, A.Yoshida et al.: "A Radiative Recombination Edge in the X-ray Afterglow of GRB970828,and Non-Equilibrium Ionization States"AIP Conference Proceedings. 662. 383 (2003)