2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15740150
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
さこ 隆志 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (90324368)
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Keywords | 宇宙線 / 粒子加速 / 太陽フレア / 太陽中性子 / シンチバー / マルチアノード光電子増倍管 |
Research Abstract |
本研究では、太陽中性子望遠鏡の要素開発を行った。長さ3mのプラスチックシンチレータ(シンチバー)の光量試験に重点をおいた。 シンチバーには波長変換光ファイバが埋め込まれており、3m先の発光も読み出せる。ファイバでの減衰長はカタログ値で約3mである。小型シンチレータを用いて宇宙線通過場所を限定した状態でシンチバーからの出力光量を測定したところ、ファイバでの光減衰長として2.7mという結果が得られ、ほぼ期待通りの値になっていることが確認できた。 シンチバーの断面は4cm×1cmと太陽中性子望遠鏡に使うには小さいため、8本束ねて使用した。各シンチバーは中心に直径1mmか1.5mmのファイバを挿入できる。表面は白ペイントで覆われているが、これを除くことも可能である。ペイントありとなしで比較したところ、ない場合にある場合の2倍の光量が得られた。また、ペイントなしで1mmファイバ8本を使用した場合と、1.5mmファイバ4本を使用した場合とでは同程度の光量が得られた。どちらもファイバ束の断面積は同程度なので、本数の少ない1.5mmの方が取り扱い上有利である。しかし、1.5mmファイバは4本のシンチバーに挿入しているだけで、8本のシンチバーから一様に信号を読み出せているかどうかは疑問が残る。そこで、シンチバー間にファイバ用溝を切ったものを開発し、現在試験中である。 多チャンネル読み出しのため、HAMAMATSU社のマルチアノード光電子増倍管H6568を用いた。3mの減衰を受けた後の信号も、ノイズと分離できるだけの電荷量をもって読み出せることが確認できた。上記の試験は全てこの光電子増倍管を用いて実施した。 宇宙線国際会議で本研究を報告したところ、最終全体報告の中で、地上での太陽観測装置の将来計画として紹介された。これまでの太陽中性子望遠鏡の共同研究者達も大いに関心を寄せている。
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