2004 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙の大規模構造における高度な統計的手法を用いた宇宙論の研究
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15740151
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松原 隆彦 名古屋大学, 理学研究科, 助教授 (00282715)
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Keywords | 宇宙論 / 宇宙の大規模構造 / 統計解析理論 |
Research Abstract |
本年度の主たる成果として、重力レンズ効果を用いた銀河構造の探索、スローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)の解析、高赤方偏移空間における2点相関関数の包括的研究、などがある。 はじめに、重力レンズ効果を用いた銀河構造の探索では、銀河構造を非楕円体によるモデル化を採用して、観測されている4重像重力レンズを解析し、この拡張されたモデルがよりよいフィットをすることを明らかにした。 SDSSの解析においては、SDSSの正式メンバーとして第2回目および第3回目のデータリリースを行った。また、SDSS銀河を用いて3点相関関数を銀河の形態、色、光度の依存性に着目してはじめて計算し、宇宙モデルと比較した。この結果、これらの依存性は期待するほど大きくなく、銀河形成時のバイアスが複雑であることを明らかにした。さらに、SDSSクェーサーの相関関数を計算し、ラージスケールのクラスタリングを検出した。このスケールの物理として、宇宙のバリオン密度やダークエネルギーの量が効いてくる。初めてこれらの量について宇宙の大規模構造からの制限を与えた。 高赤方偏移空間における2点相関関数の包括的研究では、2点相関関数の振る舞いを理論的な摂動論に基づいた計算により、一般的に調べた。特に、宇宙のバリオン密度、ダークエネルギー成分、そのほかさまざまな宇宙のパラメータが、高赤方偏移空間における相関関数にどのような効果を及ぼすのか、どのような観測をすればこれらパラメータを決定できるのかについて詳細に調べた。 いずれの成果も観測的宇宙論の分野の進歩を支える重要な成果と考えている。
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Research Products
(6 results)