2004 Fiscal Year Annual Research Report
不安定核データ・ニュートリノ輸送流体計算による超新星爆発メカニズムの解明
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15740160
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
住吉 光介 沼津工業高等専門学校, 教養科, 助教授 (30280720)
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Keywords | 超新星 / ニュートリノ / 状態方程式 / 流体力学 / 輻射輸送 / 爆発 / 核データ / 衝撃波 |
Research Abstract |
重力崩壊型超新星爆発のメカニズムの解明は宇宙物理学の長年の懸案であり、銀河の進化・元素の起源を明らかにする上でも、非常に重要な未解決課題である。本研究の目的は、ニュートリノ輸送流体計算によるシミュレーションにより、超新星コアの重力崩壊の様子を調べ、最新の核データを用いた場合に、爆発が起きるか否か、を明らかにすることが研究の目的である。相対論的核子多体理論による状態方程式を用いた一般相対論的ニュートリノ輸送流体計算コードにより、大質量星の進化計算で得られている鉄のコアの初期条件から初めて、重力崩壊・コアバウンス・衝撃波発生・爆発(もしくは衝撃波の消滅)のシミュレーションを行い、核データが超新星爆発に及ぼす影響を調べた。 今年度は当初の目標である、不安定核データに基づく相対論的状態方程式テーブルを用いた超新星爆発シミュレーションを行い、重力崩壊・コアバウンス・衝撃波伝搬を長い時間スケールで実行する事に成功した。その結果、最新の状態方程式を用いた場合でも、バウンス後1秒まで爆発が起きることはないことを世界で始めて明らかにした。この際、以前より用いられてきていた状態方程式との比較計算を行い、重力崩壊時には組成の違いにより衝撃波の発生位置が異なることを明らかにしたが、加熱率による違いに相殺され、バウンス後300ミリ秒程度までは衝撃波の伝搬は類似していることが判った。一方、300ミリ秒以降1秒までの時間においては、中心密度の違いが大きくなるため、誕生する原始中性子星の性質や熱的進化が状態方程式によって大きく異なることを初めて発見した。中心密度はおおよそ2倍も異なり、温度分布では最大ピークで10MeVという大きな違いが表れて、超新星ニュートリノの平均エネルギーにも観測可能な違いが生ずることを予測した。
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Research Products
(5 results)